善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

明るく泣けた「赤道の下のマクベス」

新国立劇場で上演中の「赤道の下のマクベス」を観る。

夕方6時開演なので、その前に腹ごしらえをと新宿で途中下車し、新宿郵便局そばの「渡邉」でそばをすする。
食べたのは「きのこ卵とじせいろ」。
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夕方の中途半端な時間なのにけっこう客で賑わっていた。

新国立劇場の小劇場はたしか初めてだと思うが、比較的こじんまりしていていい雰囲気。
イスは一見安っぽく見えたが、フカフカの座布団が敷いてあり座り心地がよかった。
客席は満員。
いつも見る歌舞伎と違って男性も多く、年齢も中年層以下という感じ。

見終わった感想を先にいえば、すばらしかった!
最後は涙が出てきた。まわりでも鼻をすする音があちこちから聞こえた。(決して花粉のせいではない)
だが、その涙は暗い涙ではなく、明るい涙だった。

作・演出は「焼肉ドラゴン」の鄭義信
1947年、シンガポールチャンギ刑務所で第2次世界大戦のBC級戦犯として収容されていた日本人と元日本人だった朝鮮人の物語。
捕虜への暴力や住民の殺害などの残虐行為の命令者・実行者がBC級戦犯の対象となり、そこには日本人だけではなく朝鮮や台湾の捕虜監視員もいた。
2010年に韓国ソウルの明洞芸術劇場で韓国語にて初演され、北京公演も行われた。
今回は新国立劇場上演のために大幅に改訂し、日本初演

日本の朝鮮統治時代は日本人とされてアジア侵略のために働かされ、戦後は日本に協力した罪で死刑を宣告された朝鮮人の叫びが胸に迫った。
「誰のせいにしたらいいんだ!」
「だれを憎んだらいいんだ!」

70年以上前の戦争犯罪。「不可逆的解決」とかいって、日本政府は何とか「もう過去の話」と忘れ去ろうとしているが、決して過去の話なんかではない。
いつまでもいつまでも、忘れずに、語り継いでいかなければいけない。

歴史と向き合い、未来を明るくするための「勇気」を与えてくれる作品だった。