善福寺公園めぐり

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2月文楽 六代目竹本織太夫襲名披露公演

国立劇場の2月文楽公演第2部を観る。

昭和を代表する名人、八代目竹本綱太夫50回忌追善と、豊竹咲甫太夫改め六代目竹本織太夫襲名披露公演。
演目は「花競四季寿(はなくらべしきのことぶき)万才・鷺娘」のあと、綱太夫50回忌追善と新・織太夫の襲名披露口上、追善・襲名披露狂言「摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)合邦住家の段」

劇場の前には織太夫の襲名を寿ぐノボリが立っていた。
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入口ホールには各界から贈られた御祝儀袋がズラリ。
歌舞伎の尾上菊之助からのもあった。
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太夫は八代目綱太夫の前名。ということは、ゆくゆくは咲甫太夫が綱太夫の名を継ぐのだろうか。
口上では綱太夫の息子で咲甫太夫の師匠の咲太夫がしみじみと父親の思い出を語っていた。

新・織太夫は「摂州合邦辻」のクライマックスの場面を語った。
声を張り上げての全身全霊の熱演という感じ。
咲甫太夫のころは若手のホープとして将来を期待してみていたが、名前は人を変えるという言葉の通り、織太夫としての語りを聴いていると俄かに上手くなった気がしてくる。
それだけ今回の公演のため血の滲む稽古をしたのだろう。

玉手御前の勘十郎が名演技。
ほかの人形遣いとどこがどう違うのか、とにかく勘十郎の玉手御前が出てくると舞台が一変する。
これぞ名演といわず何といおう。
否応もなく舞台に引き込まれていく。

特に今度の舞台では、玉手御前のクドキの場面で織太夫と勘十郎の息がピタリと合っていた。

「摂州合邦辻」は歌舞伎でも何度かみたが、文楽とはまるで違う。
文楽のほうが動きがダイナミックで、観る者にグイグイと迫ってくる感じ。
生身の人間の動きと人形を介した動きの違いだろうか。