善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

団菊祭五月大歌舞伎

連休明けの7日(木)は歌舞伎座で団菊祭五月大歌舞伎・昼の部を観る。
菊之助女形と立役をやるというので観に行く。
「摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)合邦庵室の場」は玉手御前に菊之助、俊徳丸・梅枝、浅香姫・尾上右近、奴入平・巳之助、合邦道心・歌六、母おとく・東蔵
続いて「通し狂言 天一坊大岡政談(てんいちぼうおおおかせいだん)」は大岡越前守・菊五郎、池田大助・松緑、山内伊賀亮・海老蔵天一坊・菊之助、大岡妻小沢・時蔵

ほかに菊之助は夜の部で「丸橋忠弥」の松平伊豆守、「め組の喧嘩」で藤松と、まるで役柄の違う4役をつとめていて、今月はまるで菊之助のための舞台といった感じ。

席は前回の三月大歌舞伎とほとんど同じ前から2列目の花道近く。おかげで役者の表情がよくわかった。
菊之助の玉手御前を見ていると、どこか玉三郎とダブるところがある。祖父の梅幸、父の菊五郎も演じた役だが、女形の芸の先輩である玉三郎の影響も強く受けているのだろう。フト玉三郎が入っている場面がある。芸を継承する歌舞伎のパワーを感じた。

父に刺されたあとに玉手が本心を明かすところが特にいい。ここには立役のいさぎよさが入っていて、最近、菊之助が立役を増やしていることがプラスに働いているようだ。

本日は菊之助の玉手御前を見てシアワセな気分。

娘思いでハラハラしどおしの東蔵もよかった。
父亡きあとの巳之助ががんばっていた。

通し狂言の「天一坊」は、かなりカットしたところもも多かったろう、筋を追うだけで深みのない芝居に見えた。
菊五郎大岡越前はさすが人間国宝だけあってどっしり構えて見事だったが、伊賀亮の海老蔵は何だか落ち着かない様子。心ここにあらずで演技しているみたいで、大岡越前との問答も何言ってるのかよくわからない。
最後は伊賀亮はいないし、大立ち回りもなく、「これにて一件落着」で終わりで、拍子抜け。
大岡裁きの芝居だからしょうがないか。