善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+「男の出発」

スペインの赤ワイン「サングレ・デ・トロ・ルージュ(SANGRE DE TORO ROUGE)2014」
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サングレ・デ・トロとは「牡牛の血」という意味だそうで、バルセロナの近郊、ペネデス地方でワインを造り続けて140年以上というワイナリー・トーレスを代表するワインという。
サングレ・デ・トロのトレードマークである牛のマスコットは古代ローマ神話の酒神バッカスに由来するトーレスのシンボルだそうだが、スペインといえば闘牛のイメージもダブっているかもしれない。

ブドウ品種はスペイン原産のグルナッシュ、カリニャン。
「牡牛の血」という割にはフルーティでスッキリした味。

干し柿+ブルーチーズがけっこういける。
意外や、赤ナマコとも合う。

ワインの友で見たのは昼間NHKBSで放送していた「男の出発(たびだち)」。
1972年製作。監督は元写真家のディック・リチャーズでこれがデビュー作という。出演はゲイリー・グライムス、ビリー・グリーン・ブッシュほか。

南北戦争後のテキサスのある村。カウボーイに憧れる16歳のベン(ゲイリー・グライムス)は、カルペッパー(ビリー・グリーン・ブッシュ)をボスとするカウボーイたちの一団がテキサスからコロラド州フォード・ルイスまで牛を送る用意をしているというので、どんな仕事でもするからと懇願してコックの助手として雇われる。

その後の牛を追う長い旅の物語だ。
原題は「The Culpepper Cattle Co.」とあるから、カルペッパー牡牛団といった意味か。
ちょうど飲んでいるワイン(サングレ・デ・トロ=牡牛の血)とピッタリ。

長い旅の間に牛泥棒や馬泥棒の被害にあったり、仲間同士のケンカとか、ついには無断で侵入したというので悪徳牧場主から法外な賠償金や銃まで取られて、撃ち合いにまで発展する。

少年が大人になっていく過程を描いた作品という前評判だったが、物語の最後に主人公のベンは腰につけた銃を地面に置いて去っていく。
西部劇としては異色の結末だ。
本作が作られたのは1972年。ベトナム戦争末期の時期で、世界中で反戦の運動が高まっていたころだ。西部劇という形をとりながら、殺し合うということへの何らかのメッセージをそこに込められていたのかもしれない。

元写真家というだけあって映像が美しい。
描き方もとてもリアル。かなり時代考証?しているようで、居酒屋が床屋を兼ねているとか、カウボーイたちはみんなヒゲ面、ベンが野グソするシーンでは植物の葉っぱだか実だかをもぐ場面があり、あれで拭いていたのだろう。

ニューシネマ風の西部劇だった。