善福寺公園めぐり

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グレツキ「交響曲第3番 作品36“悲歌のシンフォニー”」

きのうの夜9時からNHKの「クラシック音楽館 N響コンサート」を聴いていたら、グレツキ作曲「交響曲第3番 作品36“悲歌のシンフォニー”」という曲がすばらしくよかった。

管弦楽はNHK交響楽団、指揮デーヴィッド・ジンマン、ソプラノ ヨアンナ・コショウスカ。

グレツキという作曲家はまるで知らなかったが、ポーランドの現代音楽の作曲家で、2010年に76歳で亡くなったという。
きのうの演奏曲は現代音楽というが実に静かで、同じような曲調が繰り返されていく感じだが、まるであきさせない、どころか、どんどん引き込まれていく。

この曲は、息子を想う母の歌だった。
ソプラノの響きも美しく、第3楽章の最後の歌詞はこう歌っていた。

人でなしども
後生だから教えて
どうして私の息子を殺したの?

この第3楽章で歌われた歌は、ポーランドの方言を使った民謡だという。
ナチスドイツによるポーランド人やユダヤ人虐殺について歌っているのか、それ以前の革命の時代のことなのか、敵に殺された息子を思う母の気持ちが歌われる。
息子はどこで眠っているかさえもわからない。
母は嘆きの中で「なぜ、いったいどういう理由で私の息子を殺したの?」と詰問する。

重く、そして静かに、平和を祈る曲に聞こえた。