善福寺公園めぐり

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東京都庭園美術館「ボルタンスキー展」

土曜日の午前中、目黒にある東京都庭園美術館で開催中の「クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス―さざめく亡霊たち」を見に行く。

ボルタンスキーはフランス現代美術界の巨匠といわれる人。
今回の展覧会、ボルタンスキーにも興味があったが、同時に東京都庭園美術館に行くのが初めてだったので、そちらのほうの関心も強かった。

東京都庭園美術館は旧朝香宮邸として1933年竣工。現在は国の重要文化財となっており、アール・デコ様式の邸宅を改築した美術館。

美術館の外観。
何しろ元は邸宅だったから、都心の一等地なのに森の中にある感じ。
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建物の入口でにらみをきかせている親子獅子。
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旧館と新館とを結ぶ渡り廊下には変わったガラスが張りめぐらされていて、射し込む光によって床や壁が水玉模様になっている。
このガラスは波板ガラスと呼ばれるもので、現代美術家杉本博司氏のアドバイスによるものという。
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建物とうまく調和した形で開催されているのが今回のボルタンスキー展で、建物の内部を鑑賞しながら彼の作品に触れることができる。

1階のあちこちで聞こえるさまざまな人の声。「布は水を吸うと重くなるのよね」とか「「今、何といった?」とか、断片的に人々のささやきが聞こえる。その声が「さざめく亡霊者たち」という作品となっている。

かつて書庫だった部屋ではドッキンドッキンという心臓の音が聞こえ、それが「心臓音」という作品。

巨大なスクリーンの表と裏に写し出される映像。海辺の砂漠の映像はチリのアタカマ砂漠の映像で、標高約2000mを超える高地にある地球上で最も乾燥した、だから星もはっきり見える場所だそうで、日本製の数100もの風鈴が風に揺れている。
題して「アニミタス」。「アニミズム」と似た意味だろうか?
反対側のスクリーンに写し出されているのは、瀬戸内海にある豊島(てしま)の山の中腹で揺れる風鈴。題して「ささやきの森」。
風鈴の音がかなり違って聞こえる。  

庭園美術館は、建物の設計は当時の宮内省内匠寮(担当技師は権藤要吉)が行っているが、内装の設計はフランスのインテリアデザイナー、アンリ・ラパンが担当しており、それぞれの部屋で違った意匠が凝らされ、贅を尽くしたつくりになっていて、みていて飽きない。

石材は日本国内はもちろんイタリアやフランスなどヨーロッパ各地から取り寄せているし、内壁の壁面に油絵を張りめぐらしたり、タイル、ガラスのレリーフ、ラジエターカバーに至るまで、すべてが手の込んだつくりになっている。

幾何学模様やジグザグ模様など、どれも唸るようなデザインだった。