善福寺公園めぐり

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ポルトガルの旅 その9 ポルトの南蛮屏風

ポルトガルの旅9日目は、いよいよポルトガルを去る日。
アパートはお昼にチェックアウトすればいいので午前中はポルトガル最古の美術館、ソアレス・ドス・レイス国立美術館(Museu Nacional de Soares dos Reis)に行く。
Uberを呼んだんだが、ここでもまたもや問題発生。
Uberの運転手は美術館の前に到着したのに、何を勘違いしたのかスピードをゆるめずどんどん車を走らせてしまう。ここで止まってといっても指示を聞こうともしないで、ついにはインターチェンジに入って川の向こうまで行ってしまう。おまけにこの運転手、ポルトガル語しかしゃべらないので会話が通じない。美術館の写真を見せてようやく戻ることができたが、30分ぐらいロスして遠いところに連れていかれてしまった。(のちに一件をUberに伝えたところ料金の超過分は即、返金してもらった)

この美術館は18世紀に建てられた宮殿に開設され、ポルトガルのすぐれた彫刻家であったソアレス・ドス・レイス(1847-1889)の名を冠した美術館。
近現代の絵画をはじめ、陶磁器や金細工、宝飾品、ガラス製品などが並んでいる。

変わったガラス製品。
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ギターラの原型だろうか?
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イヌみたいなライオン?が描かれた皿。
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細かい模様。
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おっぱいをツンツンしている。
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太っちょの女性。
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愉悦の2人。
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中庭のアズレージョ
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少年。
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何といっても興味深かったのが日本でつくられポルトガルに渡った南蛮屏風。
南蛮屏風はリスボンの国立古美術館にもあるが、ここの南蛮屏風も有名だ。
作者名は不明だが、17世紀初頭に狩野派の絵師によって描かれたと伝えられている。
描かれているのは南蛮船の入港、荷降ろしの風景、上陸したポルトガル人とそれを眺める日本の庶民の姿など。当時の風俗習慣や住居、船、衣服、動物などが描かれていて歴史的にも価値が高い。
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ソアレス・ドス・レイス国立美術館の南蛮屏風については最近わかってきたこともある。
屏風の下張りの中に2000枚から3000枚の反古紙があることがわかり、日本に持って行って元の半紙大に1枚1枚はがす解装作業を行ったところ、400年の時を経て多数の「下張り文書」が見つかったという。
下張りというのは屏風などをつくる際に表面のスクリーン部分を支えるための下地として和紙を幾層にも貼り付けるものだが、当時は和紙が貴重品だったため不要になって廃棄された手紙や大福帳なんかが下張りとして使われたらしい。

これまでも別の屏風絵の下張り文書の中から「ルイス・フロイスイエズス会の修道士にあてた手紙」とか「秀吉の側近に宛てられた手紙」など歴史的に貴重な資料が見つかる例がある。
ソアレス・ドス・レイス国立美術館の南蛮屏風に使われた下張り文書にどんなものがあったかは、現在、専門家による調査・解明が行われているところでまだ不明のようだ。しかし、修復前の下張り文書の一部が展示されたときは、江戸時代初頭の京都の和菓子屋の顧客台帳とか、奈良の唐招提寺の建物や仏像、菩薩像のリストのようなものとか、「鑑真」の名前が読み取れるものもあったという。

ただの絵かと思ったら、南蛮屏風は歴史をたどることのできる“お宝”も隠し持っているらしい。古いものはそれだけで貴重なのだ。

11時すぎにアパートに戻り、荷物をまとめて12時にチェックアウト。
アパートの前からシャトルに乗って帰ろうとしたら、アパートの前の通りではこの日、ハーフマラソン大会が開催されていて車の通行は不可となっていた。
宿の前を選手たちが走っていく。
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やむなく交通規制のないところまでゴロゴロと荷物を運び、そこからタクシーで空港へ。
ポルト空港でチェックイン後、ビールとサンドイッチの軽い昼食。

15時30分発のTK1450は飛行機がまだ到着してなくて1時間半遅れになるという。
ようやく飛行機が到着してきた。
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飛行時間4時間35分でイスタンブール着は24時ごろ。
01時40分発のTK052で成田へ。
イスタンブール空港のゲートは208。成田行きはいつもここなのか、そういえば6月にトルコを旅したときも帰りは208ゲートだった。
飛行時間11時間30分、座席は全員通路側をゲット。
成田到着は17日の19時10分の予定が18時40分ごろ到着。
行くときに借りたWiFiを返却し、スカイライナーに飛び乗って一路わが家へ。
最寄り駅に着いたところで、たまに行く居酒屋でイッパイ。
ビールと日本酒、アジ刺身、締めサバ、イカ刺、冷や奴、ゴーヤチャンプル、焼き枝豆、牛タタキなどで日本の味に再会!

ほろ酔い気分で無事帰宅。

(完)