善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

サイテー日本数学会とステキ写真展

数学者の写真を撮り続けている写真家がいる。
カネミ油症問題に取り組んだり、水車や日本酒造りの現場を撮ったりしている河野裕昭サンという写真家で、10年近く前から数学者の写真を撮っていて、何年か前、京都大学日本数学会が開催されたとき、「数学者の貌(かお)」と題する写真展を開いて話題となった。
このときは行きたかったけど京都という遠いところだったので行けなかったが、今年は東京工業大学日本数学会の年会が開催され、会場の一角で女性数学者を撮った写真展が開かれるというので出かけて行った。

20日の午後2時すぎ、東急目黒線大岡山駅を下車して駅前の東工大本館の会場に向かう。
開催場所は本館 1階 H116講義室 および 廊下。
ところが、会場をいくら探しても写真展をやっている気配がない。
たしか、20日が写真展の最終日で、夕方18時までやっているとホームページを調べたらあったのに、何もないし、誰もいない。
ハテどこでやってるんだろうとそのへんをウロウロしているうち、事務局の女性らしい人がいたので聞くと、「13時で終了しました」とそっけない返事。
思わず耳を疑ったが、「夕方までやっているはずでは?」と聞いてもまるで反省の言葉はなく、「伝えておきます」とだけしか答えが帰って来ない。

予定を繰り上げて途中で中止にするなら、本来なら事前に告知すべきであり、当日急きょそうなったとしても、せめて会場入口にその旨を張り紙するとかすべきなのに、そんなものも一切なし。たまたま事務局の人と出会ったから中止がわかったものの、そうでなければわけのわからないまま会場をウロウロしていたに違いない。

要するに、日本数学会という組織は、数学のことは一生懸命勉強してわかったふりをしていても、世間の常識を知らない頭の悪い、悪いが言いすぎなら鈍い人たちの集まりなんだね。
これでは世の中に役に立つ数学なんて実現するはずもあるまい。

がっかりして帰路につき、目黒駅で乗り換えるとき、目黒駅近くの東京都庭園美術館で「岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟」展を開催していることに気づき、気を取り直してそちらに向かう。
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東京都庭園美術館朝香宮邸として建てられた建物で、内部をそのまま保存し、作品を展示している。
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岡上淑子という人は1950年代に彗星のごとく登場し、たちまちにして表舞台から消えて行った人。
もともと文化学院の学生だった20代始めのころ、授業で「貼り絵」のテーマが出されて、
戦後の連合国軍が残したLIFEなどのグラフ雑誌、VOGUEのようなファッション誌などの印刷物を素材にして独自のフォトコラージュ作品をつくっていた。
それをシュルレアリスト瀧口修造に見出され、1950年代のアートシーンに登場したのが彼女だった。しかし、7年間の活動期間ののち結婚を機に制作からは離れてしまったという。
2000年以降、再評価の動きが国内外で高まって、2002年には日本にさきがけてアメリカで作品集が刊行され、その後、毎年のようにあちこちで回顧展が開催されている。

たしかに、作品はどれも60年ぐらい前のものだが、色あせることなくとても新鮮な感動を与えてくれる。
会場内の写真OKの場所で写す。
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暖房や空調のグリルの模様が一部屋ごとに異なっていて、これは青海波に鳥のイメージ。
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大岡山でガッカリし、目黒で救われた1日だった。

教訓。サンマだけじゃない、写真は目黒に限る。