今月9日(日)から24日(日)までの16日かけて、ヨーロッパの東というか中央あたりに位置するポーランドとハンガリーを旅してきた。
あいだにスロバキアを挟んで北にポーランド、南にハンガリー。ともにかつては社会主義国として“東” のソ連の影響下にあったが、その後社会主義政権は崩壊し、2004年に両国ともにEUに加盟。一転して“西側”入りを果たしている。
だから昔はポーランド・ハンガリーは東欧諸国の一員だったが、今は多少西に寄って中欧の国ということになるか。
ポーランドという国名の語源は「平原」からきているそうで、限りない大平原が広がっていてまわりからの侵攻を受けやすいのか、周辺の強国によって領土を分割された歴史がある。ポーランドを構成する民族も、東からやってきたり、西あるいは南からやってきたりして定住してたスラヴ民族、その中でも西スラヴ人と呼ばれる人々のようだが、西暦1000年ぐらいにキリスト教の王国として国家が成立したという。
一方、東からやってきたアジア系の騎馬民族マジャール人を祖先に持つといわれるのがハンガリー。こちらも西暦1000年ごろにキリスト教を受け入れ国教とすることで王国が成立した。
つまり、国家として同じぐらいの歴史を持っているのが両国であり、民族的にもフランス、スペインなどの西ヨーロッパとは違って、東方との縁が強く残っていそうだ。
とすると、文化的にも東西の融合が色濃くあらわれているのではないか?
いつも外国を旅するとき「東西文化の融合」に興味津々の本ブログ筆者にとっては、期待ふくらむうれしい旅となった。
しかし、何よりかにより、今回の旅で何が一番うれしかったかといえば、ポーランドとハンガリーが両国とも“高齢者にやさしい国”だったことだろう。
ポーランドでは、首都ワルシャワにしても古都クラクフにしても、地元住民に限らず外国からの旅行者(EU域外の日本人も)も含めて70歳以上の高齢者は地下鉄やトラム、バスなど市内交通機関はすべて無料で利用できる。
本ブログの筆者はこれまで別に内緒にしてたわけではないがいつの間にか70歳を超えていたおかげで、当然、すべてフリーパス。
キップを買う必要はなく、もし検札でもあったときにはパスポートを見せればよい。ただし、地下鉄は乗車の前に改札機でのチェックが必要なので、あらかじめインフォメーション(観光案内所)で高齢者向けのチェック用チケットをもらっておく必要がある。
ハンガリーは高齢者サービスがもっと進んでいて、65歳以上なら市内交通機関の料金がすべて無料。
しかし、この大切な情報が「地球の歩き方」には一切書かれていない。同誌がいかに若者だけを眼中に編集されているかがよくわかる。
それはまあいいとして、今までの旅だったら、何とかお金をかけずにと、ひたすら効率よく歩くことに頭を使ったものだが、今回の旅はそれが一変。いかに電車やバスを乗り継いでラクして行きたいところまで行くかを考えるようになって、旅の楽しさは倍増した。
飛行機は6月9日(日)22時50分発のJALとカタール航空のコードシェア便。
コードシェアといいながら行きも帰りもJAL機で客室乗務員も日本人で日本語が通じて助かる。
飛行時間約11時間50分でここまでは順調。
ドーハ空港での乗り継ぎは当初は3時間55分、ということだったが、実際にはこれにくわえてさらに1時間半以上待たされた。
空港内には緑のオアシスが。
熱帯に分布するスパティフラムが咲いていた。
ドーハからカタール航空でワルシャワ(フレデリックショパン空港)へ。
13時30分着予定が、ランディングしたのは1時間近く遅れて14時20分。
最初の宿は「CHOPIN」というB&B。入口には目印だろうか古びたピアノが置いてあった。
部屋は静かで落ち着いた感じ。
この宿、夕方になると階下からピアノの音が聞こえてくる。
毎夜7時から館内のホールでショパンのピアノコンサートが開かれるため、その練習らしい。
さすがショパンの国、毎夜、市内のあちこちでコンサートがあり、演目はもちろんショパンの名曲。
さっそくトラムに乗って都心に繰り出す。
中央にそそり立っているのは「文化科学宮殿(スターリン文化パレス)」。
スターリン時代の1955年に、ソ連からの贈り物として建設されたという。
高さ237m、42階建て、尖塔の高さは49m。部屋数が3288もあり、内部には3000人を収容できる映画館、劇場、博物館、会議場や展示場があるというが、社会主義政権の崩壊後は企業のオフィスが多数入居するようになっている。
スターリン時代の遺物のような「文化科学宮殿」の正面に建っているのが、高さ192m52階建ての超巨大タワマン「ズロタ(Zlota)44」。
設計したのはニューヨークのグラウンド・ゼロのマスタープラン・コンペに優勝したポーランド出身の建築家ダニエル・リベスキンド。
長くカーブした形態は鷲の翼からインスパイアされたんだとか。
建物のシンボリックな形態は、太陽の軌跡に従って全階の住戸に最大量の自然光を導入しようとデザインされたものであり、なおかつ、歴史的なアーバン・ストリートに落ちる建物の影を最小にするよう細かく配慮されたデザインなんだとか。
さらに「ズロタ44」の左隣に建つのは高さ310mで、EUで最も高いビル「ヴァルソタワー(Varso Tower)」。
ワルシャワ中央駅に隣接した大型ショッピングモール・ズウォテタラシー。
スイカが山積みになっていた。
夜の食事は、ミシュランのピグマリオンと紹介されていた「SOUL KITCHEN」。
タイ料理の店で、ワルシャワでも人気が高く、店内は若い人を中心に席が埋まっていた。
注文したのは春雨のサラダに鶏のロースト。
これに、店員からのアドバイスで紙につつまれたモチモチのライスをプラスしたが、とてもおいしくて大正解。
かくてワルシャワの1日は終わる。