善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

年始恒例の東京都写真美術館

正月は毎年恒例、東京・恵比寿の東京都写真美術館へ。

毎年1月2日、3日は入場無料となっていて、ただいま開催中の3つの写真展をハシゴする。

 

まずは3階展示室の「見るまえに跳べ 日本の新進作家 vol.20」。

東京都写真美術館では2002年より将来性のある作家の発掘・支援を目的に「日本の新進作家」展を開催していて、20回目となるのが本展。

新型コロナウイルスの感染拡大、あるいはロシアによるウクライナ侵攻など、明日への不確かさの中で、「孤独」と向き合い、独自の方法での写真作品によって生きるための原動力の在処を示そうとする5人の作家の作品が紹介されている。

出品作家はうつゆみこ(1978年~)、淵上裕太(1987年~)、星玄人(1970年~)、夢無子(むむこ、1988年~)、山上新平(1984年~)。

おもしろいなと思ったのは淵上裕太の作品。

岐阜県生まれの彼は、2014年に名古屋の写真学校卒業後、スタジオ勤務をへて独立。2016年から東京・上野界隈に集まる人々の写真を撮っているという。

何となく雰囲気のある作品。

 

続いて2階展示室の「即興 ホンマタカシ」。

ホンマタカシ(1962年、東京都生まれ)は1999年に第24回木村伊兵衛写真賞を受賞。

以前、彼の作品展を観たとき、「ニュー・ドキュメンタリー」なる撮影手法に興味を抱いたことを思い出す。

本展では、この10年あまりに制作された作品を中心に展示。

「THE NARCISSISTIC CITY」と称する作品群は、ミラノ大聖堂など世界各地の名建築の写真だが、「ピンホールカメラ」の技法を用いて撮影されているという。

ピンホールカメラとは、針先のような小さい穴(ピンホール)を使って光を通し、一定距離の先にあるフィルムや印画紙などの感光材の上に像を映し出す仕組みのカメラのこと。

最も単純なカメラの方式だそうで、露出などのコントロールが難しく、どんな風景が映し出されるかわからないので偶然性や即興性が強く出るという。

ホンマタカシの撮影のやり方は、ホテルなど閉め切った一室を写真機の中に見立て、小さな穴から屋外の光を取り込むことで室内の壁に外の風景を映し出し、それを印画紙に定着させているのだという。

標題の「THE NARCISSISTIC CITY」とは、「ナルシスト・シティ」つまり「自己陶酔都市」ということか?

ピンホールカメラという原初的な手法で映し出される風景は、現実の裏にある風景であり、これこそが真実なのかもしれない。

あるいは、ナルキッソスが水鏡に映る自分の姿に見とれるように、撮影者の自己陶酔から生まれる風景は、妖しいゆえに魅惑的なのかもしれない。

 

最後は地下1階展示室の「プリピクテ Human/人間」。

「プリピクテ(Prix Pictet)とは、2008年にピクテ・グループによって創設された写真と地球の持続可能性(サステナビリティ)に関する世界有数の賞という。

今回で10回目となるプリピクテでは、「HUMAN /人間」をテーマに12人の写真家の作品が展示されていた。

 

写真展のあとは写真美術館1階にあるカフェ「フロムトップ」で昼食。

水餃子と雑穀米のランチと食後はコーヒー。

おせちに飽きたら水餃子?(昔そんなCMがあったっけ。あれはカレーだったが)