善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

東京都写真美術館の正月

東京・恵比寿にある東京都写真美術館へ。

毎年、正月2日、3日は2階と3階展示室の展覧会が入場無料なので出かけていくのが恒例となっている。

 

3階展示室で開催中の展覧会は「プリピクテジャパンアワード」。

プリピクテとは、スイス・ジュネーブに本社があるピクテ・グループが2008年に始めた国際的な写真賞のこと。

社会問題や環境問題に寄与する写真家たちを表彰し作品を展示しているが、日本を拠点に活動する写真家を対象に開催されていているのが今回で3回目となる「プリピクテジャパンアワード」。

今年のアワードでは、「火と水」をテーマに新進作家から中堅作家までの中から選ばれた8人の写真家の作品を展示されている。

 

岡田将の作品は「Microplastics」。

海洋に流出したプラスチックゴミが海流や紫外線の影響によって微細に砕けたマイクロプラスチックは、近年環境問題の中でも特に問題視されている。そのプラスチックを特殊な顕微鏡撮影によって拡大したものだが、まるで宝石のような、あるいは生物を思わせるような美しい姿。

マイクロプラスチックは人類が地球上からいなくなっても存在し続けるというが、こんなに美しくて、いいんだろうか?

 

岩根愛「KIPUKA」

2006年以降、ハワイにおける日系文化に注視し、2013年からは福島県三春町にも拠点を構え、移民を通じたハワイと福島の関連をテーマに作品を制作。ハワイと福島は同じボンダンス(盆踊り)で強く深くつながっていると2018年に発表した「KIPUKA」により第44回木村伊兵衛写真賞を受賞。

KIPUKAとはハワイ語で溶岩流の焼け跡にオアシスとなって残る植物の島のことで、再生の源となる「新しい命の場所」をも意味するという。

 

長澤慎一郎「The Bonin Islanders」

小笠原諸島はかつて欧米諸国ではBonin Islandsと呼ばれていた。これは江戸時代に無人島と呼ばれていたのに由来していて、Mujin-Bunin-Boninというわけだ。

無人島だったその島に1830年、ハワイから5人の欧米人と20人のカナカ人(ハワイ諸島の人々)が入植。1876年に日本領土となり日本人が入植。彼らは半ば強制的に帰化させられ、島では欧米系先住民と呼ばれる。第二次大戦では全島民が日本本土に強制疎開させられ、戦後はアメリカ海軍の占領下となり、帰島できたのは欧米系島民のみだった。

1968年日本返還となる。

長澤は島で初めて出会った欧米系先住民の一人に撮影の依頼をすると「俺たちはアメリカ人でも日本人でもない。小笠原人だ」といわれたという。

以来、彼は「小笠原人」を撮影し続けている。

アメリカ海軍作成の出生証明書には「Bonin Islanders」(ボニン・アイランダー、すなわち小笠原人)となっている。

 

瀧本幹也SURFACE

地球に存在する水である波をとらえた作品。

海を撮ったというが炎のようにも見える。

 

 

2階展示室で開催中の「野口里佳 不思議な力」

野口里佳はこれまでに、水中や高地、宇宙といった未知の領域と人間との関わりをテーマにした作品を手がけていて、近年では、日常や周囲に満ちる無数の小さな謎の探求を通して、見るものの感覚や想像を解き放つような表現を追求しているのだとか。

《きゅうり 8月21日》2017年 作家蔵(東京都写真美術館HPより)

 

おもしろかったのは、どこにでもある日常の中の自然の風景をとらえた映像作品。

たとえば「アオムシ」と題する作品は、木の枝から糸でつるされ、風にあおられながら空中を浮遊しているアオムシの動きが延々と映されている。

「虫、木の葉、鳥の声」は「アオムシ」と同様にクモの巣、羽虫、木の葉といった森の中の小さな存在が空中に浮遊する映像作品で、BGMは鳥の声。

クモの巣をただ映しているだけだったり、クモの糸に引っかかった木の葉がゆっくりと風に揺れてる、それだけの作品で、毎日公園を散歩しているときにも見るとても身近な風景なんだが、見ていて飽きないのはなぜだろう。