善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「僕たちのラストステージ」他

チリの赤ワイン「モンテス・リミテッド・セレクション・ピノ・ノワール(MONTES LIMITED SELECTION PINOT NOIR)2019」

(写真はこのあと牛焼肉)f:id:macchi105:20211202165256j:plain

ワイナリーはチリのモンテス社。オーナーが半分趣味で実験的に造ったワインなので、年間生産量が約4500ケースと稀少品のピノ・ノワールだとか。

南米最高峰アコンカグア山のふもとに広がるブドウ畑が産地という。

エレガントで飲みやすいワイン。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたイギリス・カナダ・アメリカ合作映画「僕たちのラストステージ」。

2018年の作品。

原題「STAN&OLLIE」

監督ジョン・S・ベアード、出演スティーブ・クーガン、ジョン・C・ライリーほか。

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ハリウッドのサイレントからトーキーの時代にかけて人気だった伝説的お笑いコンビ「ローレル&ハーディ」の晩年を描いた伝記ドラマ。

2人組コメディアンのパイオニアとして100本以上の作品に出演し、共に人生を歩んできたスタン・ローレルとオリヴァー・ハーディの2人が、人生の晩年に差しかかって改めて互いへの愛や演じることの大切さに気づいていく・・・。

 

原題の「STAN&OLLIE」は2人のファーストネーム。ふだん呼び合っている名前で、それが映画の主題を言い当てているが、それにひきかえ邦題の陳腐なこと。はじめ「僕たちのラストステージ」という題を見て少年少女の成長と別れの物語かと思っちゃった。

 

「極楽コンビ」として有名だったローレル&ハーディはチャップリンなどと同時代の人気者だったが、晩年は2人とも金銭的にめぐまれなかったらしい。

史実では、1945年までコンビ活動を続け、その後6年間のブランクを経て、1951年にフランスでつくられた映画が2人の最後の共演になったという。

 

ボケとツッコミが絶妙だったドタバタ・コンビ芸。しかし、年をとり、病気を抱えるようになると、若いときのようにはいかない。観客の嗜好も変化していく。そんな中で、2人はどうやって芸を昇華させ、そして、人生を締めくくっていくのか。そんなことまで考えさせる映画だった。

デブで大男のハーディーを演じたジョン・C・ライリーのデブ具合というか、アゴの肉の垂れ具合が絶品で、実在のハーディーそっくりだったが、あれは特殊メイクによるもので、毎日メイクだけで4時間を費やしたという。

 

最後はほろりとして、友情っていいなーと思わせる映画。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のBSで放送していたアメリカ映画「グリーンブック」。

2018年の作品。

監督ピーター・ファレリー、出演ヴィゴ・モーテンセンマハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニほか。

 

人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人の天才ピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を、実話をもとに描き、アカデミー作品賞を受賞したドラマ。

 

1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は、粗野で無教養だが口が達者で、何かと周囲から頼りにされていた。クラブが改装のため閉鎖になり、しばらくの間、無職になってしまったトニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)に運転手として雇われる。

黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーに出かけようとするドクター・シャーリーと、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、その旅に同行することになったトニー。

出自も性格も全く異なる2人は、当初は衝突を繰り返すものの、次第に友情を築いていく・・・。

 

「グリーンブック」とは、1967年まで存在した黒人専用の旅行ガイドブックで、黒人が差別を受けることなく安全に利用できる宿泊施設、レストラン、美容院、ナイトクラブ、ガソリンスタンドなどをリストにして紹介しているという。

人種差別がまだ当たり前だった時代、特に南部では、黒人は普通に街を歩くこともできなかった。白人以外は入店お断り、というだけではない。白人以外は日没までに町を出なければならないという条例のある町があったりして、黒人の旅行者がそうと知らずに迷い込めば、留置所に入れられたり、襲われたり、最悪の場合には殺されることさえあったという。

 

実際、映画でも似たようなシーンが何度も登場し、スピード違反を口実に警察に捕まって留置所に入れられた場面では、ようやくのこと1回だけ弁護士に電話することが許され、このときドクター・シャーリーが電話した相手は、何と司法長官だったロバート・ケネディだった。当時はケネディ政権の時代で、ケネディ大統領の弟であるロバート・ケネディの命令一下で2人が釈放されるシーンは痛快だった。

このエピソードは実話にもとづくもので、ドクター・シャーリーはケネディ兄弟と非常に仲がよく、彼はホワイトハウスでも2回演奏しているほどという。

しかも、実際にあったロバート・ケネディによる釈放は、ケネディ大統領が暗殺される2日前のことで、暗殺の一報を聞いたドクター・シャーリーはすぐにロバート・ケネディに電話をかけて直接弔意を伝えているという。

 

映画では、ドクター・シャーリー役のマハーシャラ・アリが見事にピアノを弾いていて、一瞬、ホンモノか?と思うほどだったが、音楽を担当したクリス・ボウワーズから特訓を受けたらしい。

 

それよりも驚いたのがヴィゴ・モーテンセンの“変身”ぶりだった。

ロード・オブ・ザ・リング」シリーズではカッコイイ貴公子アラゴルンを演じ、世界中の女性たちから「アラゴルン様」と慕われたのに、腹が出てて粗野な中年男を演じていた。

しかし、1994年のアル・パチーノ主演の「カリートの道」でも、かつてヤクザの仲間だったが銃で撃たれて車イス生活となり、オシメを離せない体になったと泣きながら訴える役をしていたから、イケメンに執着することなく、何でもできる役者なんだろう。

 

民放のBSで放送していたフランス映画「バンカー・パレス・ホテル」。

1989年の作品。

 

監督エンキ・ビラル、出演出演ジャン=ルイ・トランティニャンキャロル・ブーケマリア・シュナイダージャン=ピエール・レオほか。

 

フランスの漫画(バンド・デシネ)作家・エンキ・ビラルの映画初監督作品。原作は、監督自身による未来都市を舞台に描いたSFファンタジーの漫画作品。

 

夜も昼も、おぞましい白い酸性雨が降り続ける世紀末。政府軍と反乱軍の戦いは終局を迎えつつあり、もはや、政府は崩壊寸前だった。この状況を予知していたかのように絶対的権力を誇る大統領は、政府高官達に招集をかける。その地下の秘密通路につながる避難壕は“バンカー・パレス・ホテル”と呼ばれるものだった・・・。

 

シュールで幻想的な近未来サスペンス?