善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「白い恐怖」&「80日間世界一周」

チリの赤ワイン「マプ・レゼルヴァ・カベルネ・ソーヴィニヨン(MAPU RESERVA CABERNET SAUVIGNON)2019」

(写真はこのあとステーキ)f:id:macchi105:20210116110831j:plain

フランス・ボルドーメドック格付け第一級であるシャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が、ボルドーで培ったワイン造りの技術を活かし、チリのワインメーカーと提携してつくるワイン。

濃い明るいルビーレッドの色調がまず目につく。丸みのある心地よい飲み口のワイン。

 

ワインの友で観たのはNHKBSで放送していたアメリカ映画「白い恐怖」。

1945年12月公開というから太平洋戦争が終わった直後の映画。もちろん日本での公開はそれよりずっとあと。

監督アルフレッド・ヒッチコック、出演イングリッド・バーグマングレゴリー・ペックレオ・G・キャロル、マイケル・チェーホフほか。

記憶喪失を題材にしたサイコスリラーで、主人公が垣間見る幻想シーンにはサルバドール・ダリが協力している。

原題は「SPELLBOUND」。日本語に訳すと「魔法にかかった」とか「魅了された」「うっとりした」などの意味があるという。

 

あらすじは・・・。

精神科医のコンスタンス(イングリッド・バーグマン)が勤務するアメリカ・バーモント州の精神科専門病院に、新院長としてエドワーズ博士(グレゴリー・ペック)が赴任して来た。彼女は新院長に一目惚れ。ところが、彼は白地に縞(しま)のある模様を見ると精神が不安になる不可解な病気を持っていて、しかも、エドワーズ博士になりすましたニセモノだった。それでも2人は惹かれ合い、記憶を失っていた過去の秘密を協力して解き明かそうとするが・・・。

 

深層心理を何とか映像で表現しようとヒッチコックの凝りに凝った映画づくりが冴えていて、ついにはシュルレアリスム(超現実主義)の画家で非現実世界を描写するサルバドール・ダリにまで応援を頼み、夢の中のシーンはいかにもダリらしい。

音楽も電子音楽テルミンを使って幻想感を出している。

ラストのピストルが“主役”のシーンは秀逸。

 

そして何といっても注目はイングリッド・バーグマングレゴリー・ペック。特にペックの若いこと!

この映画のときバーグマン30歳、ペック29歳。

バーグマンはすでに「カサブランカ」や「誰が為に鐘は鳴る」なんかに出演していて、この映画のころが美しさと演技力の絶頂期にあったのではないか。

一方のペックはハリウッドデビューが1944年だからまだ2年目の駆け出し。それでもバーグマンと対等に主役を演じている。

脇役も個性派俳優が出演していて、コンスタンスの恩師となる博士を演じたマイケル・チェーホフはロシア人の演出家、演技教師でもあり、「カモメ」「桜の園」などで知られるアントン・チェーホフは叔父にあたる。バーグマンやペックにも演技指導を行ったという。

病院の前院長役のレオ・G・キャロルヒッチコック映画の常連俳優だが、ワタシ的にはテレビシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」のソロとイリヤ・クリアキンの上司役のほうがなじみがある。

 

ついでにその前日に観たのはやはりNHKBSで放送していたアメリカ映画「80日間世界一周」。

原題は「AROUND THE WORLD IN EIGHTY DAYS」

1956年の作品。

監督マイケル・アンダーソン、出演デビッド・ニーブン、シャーリー・マクレーンカンティンフラスほか。

 

1872年のロンドン。日本では福沢諭吉が「学問のすすめ」を出版した明治5年、まだ飛行機もない時代に、80日間で世界一周できるかをめぐって仲間と賭けをするはめになった英国紳士フォッグ(デビッド・ニーブン)が、執事(カンティンフラス)を伴い気球・鉄道・蒸気船・それにゾウなんかを使って大冒険の旅に出る物語。

フランスの作家ジュール・ベルヌの小説を映画化し、アカデミー作品賞など5部門を受賞した、上映時間169分の超大作だ。

 

主役は英国紳士役のデビッド・ニーブンだが、実際に体を張って活躍したのは執事役のカンティンフラス(メキシコ生まれの俳優でコメディアン)、それにインドのお姫さま役をした映画デビュー2年目で新進気鋭のシャーリー・マクレーン(当時22歳)。

 

ストーリーもおもしろかったが、それ以上に随所にチョイ役で当時の有名俳優が次々と出てきて、「えーとあの役者はだれだったか」と名前を思い出す方が忙しい、というか楽しかった。

酒場のピアノ弾きが振り向いたらフランク・シナトラだったり、やはり酒場で妖艶な感じでイッパイやってたのはマレーネ・ディートリヒ

ほかにも、シャルル・ボワイエバスター・キートンなどなど。

映画の最後のエンドロールでは、どの場面に何というスターが出てたか教えてくれるサービス?も。

 

訪れた国と都市も、イギリス(ロンドン、リパプール)、フランス(パリ)、イタリア(ブリンディシ)、スペイン(マドリード)、エジプト(スエズ)、インド、ミャンマー、香港(いずれも当時イギリス領)、日本(横浜、鎌倉)、アメリカ(サンフランシスコ、ニューヨーク)と、見ている方も一緒に世界一周している気分になった。

 

もうひとつ、忘れてならないのはテーマ曲。

昔、TBS系列の毎週日曜日放送で「兼高かおる・世界の旅」という紀行番組があったが、番組の始めに流れてくるのがビクター・ヤング作曲の「80日間世界一周」のテーマ曲だった。