善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+「巴里の屋根の下」「舞踏会の手帖」

イタリア・ピエモンテの赤ワイン「バルベラ・ダルバ(BARBERA D’ALBA)2018」f:id:macchi105:20200213102127j:plain

バルベラ100%。イタリア北西部に位置するピエモンテ州原産のブドウ品種。イタリアの黒ブドウの中でサンジョヴェーゼ、モンテプルチアーノ、メルロに続いて4番目に広い栽培面積を持つという。

果実味たっぷりで渋みが優しく、フルーティーで柔らかな味わい。

 

ついでにその前に飲んだのはチリの赤ワイン「マプ・メルロ(MAPU MERLOT)2018」f:id:macchi105:20200213102150j:plain

メルロ100%。濃いルビーレッドの色合い。果実味と繊細なタンニンのバランスがとれた味。

 

ワインの友で観たのはいずれもNHKBSで放送していたフランス映画「巴里の屋根の下」と、同じくフランス映画「舞踏会の手帖」。いずれも戦前も戦前、90年ぐらい前の作品だが、最新技術によりデジタル処理が施されて映像は鮮明。

 

まずは「巴里の屋根の下」

1930年の作品。

監督はルネ・クレール。出演アルベール・プレジャン、ポーラ・イレリ、エドモン・T・グレヴィルほか。

 

パリの街角で歌を唄って生計を立てているアルベール(アルベール・プレジャン)は、魅力的な娘ポーラ(ポーラ・イレリ)と出会い一目惚れ。ポーラは街の顔役フレッドに惹かれたが、フレッドに愛人がいると知り失望し、アルベールの家に居候するようになる。アルベールはポーラに夢中になるが、知人の罪を被せられ留置されている間にポーラとアルベールの親友ルイ(エドモン・T・グレヴィル)が恋仲になってしまう・・・。

 

ルネ・クレールのトーキー第1作らしく、セリフは少なく、どこかサイレント映画を見ているような雰囲気。無駄なセリフなんかなくても見ていてよくわかる。

撮影は実際のパリでロケしたのではなく、撮影所内にパリの街並みを再現して撮ったという。

最初のオープニング、カメラがパリの上空から屋根の上に幾本も突き出ている煙突をとらえて次第に屋上から下の階へと人々をを映し出していき、歌声の輪の中にいるアルベールをとらえる。

とにかく何度も煙突のシーンが出てきて、昔の人々の暮らしに暖房や煮炊きのための煙突は必須だったんだなと思わせる。

 

それと、映画を見ていてパリッ子がいかに歌が好きなのかがわかった。盲目のアコーディオン弾きの音に合わせて、アルベールの指揮で老いも若きも街の人たちは声を合わせて歌っている。みんなで歌うための楽譜を売る商売が成り立っているのだから、パリの下町で歌は庶民の日常の暮らしの中に溶け込んでいたのだろう。

 

そんな感慨に浸っていたら、たまたま見たNHKの放送で「名曲アルバム」という5分ほどのミニ番組があり、エディット・ピアフの歌で知られる「愛の讃歌」が紹介されていた。

オーケストラの演奏とともに画面ではエディット・ピアフのエピソードが紹介されていて、彼女が生まれ育ったパリのベルヴィルという町の映像が出ていて、夜になると賑わっている酒場みたいなところで、たぶんシャンソンなのだろう、アコーディオンに合わせて客が楽しそうに歌っている場面があった。

その光景は、「巴里の屋根の下」に描いかれた街角の歌声のシーンと一緒だった。

90年たっても変わらないものを見た気がした。

 

続いて観たのは「舞踏会の手帖」。

1937年の作品。

監督ジュリアン・デュヴィヴィエ、出演マリー・ベル、フランソワーズ・ロゼー、アリ・ボール、ルイ・ジューヴェほか。

 

未亡人になったクリスティーヌは、舞踏会にデビューした20年前、16歳のときにつけていた手帖を見つけ、そこに記されたダンスのパートナーを訪ねようと思い立ち、旅に出る。かつて彼女に愛をささやいた男たちと再会するノスタルジックな物語。

彼女の結婚を知って自殺してしまったり、キャバレーを経営しながら悪事に手を染めて警察に引っ張られた男、作曲家志望だったのに神父になった男、堕胎で稼ぐ医者になった男、田舎町の町長になった男などが次々と登場するが、かつての男たちと出会うことで20年前の夢のような思い出と現実との落差を目の当たりにし、人生の悲哀をかみしめる。

 

ガッカリした彼女は屋敷に帰り、昔恋したものの死んでしまった男の息子を引き取り、自分の息子のように愛を注ぐことにして、その子を初めての舞踏会に送り出す、というところでFIN。

人生って、幸せって何なのか。