善福寺公園めぐり

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きのうのワイン+映画「バルカン超特急」

フランス・ボルドーの赤ワイン「レ・ヴァンダンジュ セレクテッド・バイ・クリスチャン・ムエックス(LES VENDANGES SELECTED BY CHRISTIAN MOUEIX2016f:id:macchi105:20200118094641j:plain

「レ・ヴァンダンジュ」は、もともとボルドー右岸のワイン商、ジャン・ピエール・ムエックス社が所有するシャトーのブドウ収穫の際に、収穫スタッフに振る舞われてきたワイン。それを日本のエノテカのために特別にリリースしたワインだとか。

ラベルには収穫時の恒例であるテーブル上のダンスの様子がイラストで描かれている。

メルロ主体にカベルネ・フランブレンド。まろやかなタンニン、エレガントな味わい。

 

ワインの友で観たのは、昼間NHKBSで放送してしいたイギリス映画「バルカン超特急」。

製作年1938年。

邦題は「バルカン超特急」だが、バルカン半島が出てくるわけでもなく、おそらく舞台はドイツ、オーストリアあたり(事実1938年にドイツはオーストリアを併合している)で、超特急といっても蒸気機関車がシュシュポッポと走る国際列車の中で、消えた女のナゾを追うアルフレッド・ヒッチコック監督のサスペンス映画。

原題は「THE LADY VANISHES」。

 

1938年製作というから今から80年以上前の映画。当然、モノクロ。

監督のアルフレッド・ヒッチコックは当時39歳。彼は26歳ぐらいから映画監督をやっていて、すでに20本以上の映画をつくっていた。

出演はマーガレット・ロックウッド、マイケル・レッドグレーブ、メイ・ウィッティほか

 

第二次世界大戦前夜のヨーロッパ。架空の国パンドリカからロンドン行きの列車に乗り込んだアメリカ人の令嬢アイリスは、乗り合わせた老婦人フロイが、こつ然と姿を消してしまったことに気づく。

しかし、隣にいた乗客も乗務員も、初めからそんな老女は見なかったと口を揃える。さらに、同乗していた医師はアイリスが乗車前に頭を打った後遺症で記憶違いを起こしているのだと断定する。ミス・フロイの実在を信じるアイリスは、同じホテルに宿泊していた民族音楽研究家のギルバートとともに列車内でミス・フロイを探し始めるが、やがて漂ってくる政治的陰謀の影・・・。

 

映画の導入部は上空からの街の俯瞰から始まる。始めは飛行機からの撮影だろうか、ずいぶんカネをかけてるんだなと思い、だんだん高度を下げてきて人家スレスレのところを映していくので、おやおや、この時代からすでにドローンなんかあったのか?といぶかると、走る車を見て模型とわかる。

ヒッチコックのなかなか凝った導入部。

 

しかし、前半は延々と国際列車の出発を待つ人々のホテル内でのエピソードが続き、登場する人々の人物紹介が行われるが、コミカルな場面の連続で、どこかまだ無声映画の雰囲気が残っている感じもする。

列車が走り出してからようやくヒッチコックのサスペンスが本領を発揮していく。

あとからよくよく考えるとおかしな設定がいくつもあるのに気づくのだが、見ているときはどんどん映画に引き込まれていくから不思議。

やはりヒッチコックはすでにこのときからサスペンスの魔術師だったのだろう。