善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「見知らぬ乗客」他

フランス・ラングドックの赤ワイン「カデ・ドック・ピノ・ノワール(CADET DOC PINOT NOIR)2019」f:id:macchi105:20210626180801j:plain

5大シャトーのひとつ、シャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが南仏ラングドックで手がけるワイン。

ピノ・ノワール100%。軽い感じで飲みやすいワイン。

 

ワインの友で観たのはNHKBSで放送していたアメリカ映画「見知らぬ乗客」

1951年の作品。

原題「STRANGERS ON A TRAIN」

監督アルフレッド・ヒッチコック、出演ファーリー・グレンジャールース・ローマンロバート・ウォーカーほか。

 

パトリシア・ハイスミスの小説を映画化。ハードボイルド小説の先駆者、レイモンド・チャンドラーが脚本に参加している。交換殺人の計画に巻き込まれてしまった男の恐怖を描くサスペンス。

 

テニス・プレーヤーのガイ(ファーリー・グレンジャー)は、列車に乗り合わせた見知らぬ乗客、ブルーノ(ロバート・ウォーカー)から声をかけられる。男はガイが妻と不仲だと知っており、ガイの妻と自分の父とを互いに殺害する完全犯罪を持ちかけるが、ガイはブルーノが冗談を言っていると思って取り合わず、そのまま別れる。ところが、ブルーノは勝手に妻を殺してしまう・・・。

 

この映画のように交換殺人ではないが、同じような見知らぬ乗客との出会いが殺人に発展する小説で「そしてミランダを殺す」(ピーター・スワンソン作)というのがあった。

実業家のテッドは空港のバーで見知らぬ美女リリーと出会う。酒に酔った勢いで妻のミランダが浮気をしていることを話し、冗談半分で「妻を殺してやりたい」とつぶやく。するとリリーは協力を申し出て、殺人計画を具体化していく。

実はリリーはとんでもない女性であることがわかるのだが、「見知らぬ乗客」に出てくる異常心理の持ち主のようなブラッドとどこかダブってるところがある。ひょっとしてピーター・スワンソンの発想の元には、ヒッチコックの「見知らぬ乗客」があったかもしれない。

 

ついでにその前に観たのは、NHKBSで放送していた、これもヒッチコック監督でヘンリー・フォンダ主演のアメリカ映画「間違えられた男」

原題は「THE WRONG MAN」

1956年の作品。

監督アルフレッド・ヒッチコック、出演ヘンリー・フォンダ、ベラ・マイルズ、アンソニー・クエイルほか。

 

冒頭、監督本人が出てきて「これは実際に起こった出来事です」と語って物語が始まる。

1952年にニューヨークで起こった実際の事件を映画化したサスペンスという。

この映画のときヘンリー・フォンダは51歳。映画では38歳となっている。誤った目撃証言から無実の罪を着せられた男と、その妻の物語。ヘンリー・フォンダの憂いを含んだ、しかし真実を訴える目が印象的だった。

 

マンハッタンの高級クラブでベースを弾く貧乏楽士のクリストファー・エマニュエル・バレストレロ(愛称マニー、ヘンリー・フォンダ)は、妻ローズ(ベラ・マイルズ)と2人の子どもとともにつましく暮していた。ある日のこと、妻のために歯の治療費を借りようと妻の保険証書を持って保険会社のオフィスを訪ねる。受け付けた女性は、そのオフィスに2度も強盗に入った男にそっくりだというので警察に通報。結局、目撃者たちによる目視確認と、犯人が残したメモと筆跡が似ているというので強盗事件の犯人として起訴され、マニーの生活は家族を巻き込み一変していく・・・。

 

アメリカでも1950年代の当時は、風貌が似ているというだけのいいかげんな目撃証言や、筆跡が似ているという、ただそれだけの理由で冤罪事件が起こっている。「疑い」がいつの間にか「事実」とされ、犯人とされる。ひょっとして現代社会でもそんな風潮はないのか、そう思うと背筋が寒くなる。

映画はヒッチコックの本領発揮で、サスペンスタッチの怖いコワ~イ話になってそれはそれで楽しめたが、夫の無実を信じる妻が、夫が犯人にされたのは自分のせいと打ちひしがれ、やがて心の病気にまで至ってしまうのがあまりにかわいそうだった。

よくできた映画だったけど暗い気持ちで見終わってしまった。

ヒッチコックさん、もうちょっと明るく終わってほしかったなー。

 

ちなみに、映画の元となったのは「LIFE」誌に掲載された実話。

英語版Wikipediaによれば、冤罪が判明したあと、実際のマニー氏は誤った逮捕は許せないと市を訴えている。当然のことだ。彼は50万ドルを要求したが、結局はわずか7000ドルで和解を受け入れたという。しかし、映画化によって2万2000ドルの収入を得て、妻ローズのためにローンを返済できたという。

冤罪と立ち向かい、妻にはどこまでもやさしいミュージシャンだったようだ。

また、かつての実在のマニー市の家にほど近いニューヨークのジャクソンハイツの73丁目と41丁目の通りは「マニー“間違った男”バレストレロウェイ」と名づけられているという。

 

民放のBSで放送していたフランス・ベルギー合作の映画「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」

2019年の作品。

原題は「LES TRADUCTEURS」。シンプルに「翻訳家」という意味か。

監督レジス・ロワンサル、出演ランベール・ウィルソン、オルガ・キュレリンコ、アレックス・ロウザーほか。

 

映画化もされたダン・ブラウンの世界的ベストセラー「インフェルノ」の出版秘話から生まれたミステリー。内容の流出を防ぐために実際に集められた翻訳家が地下に閉じ込められて翻訳を行っていたという事実を元にした作品という。
舞台はフランスの人里離れた村にある洋館。全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の世界同時発売のため、9カ国の翻訳家が集められた。外部との接触が一切禁止され、日々原稿を翻訳する。しかしある夜、出版社社長の元に「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ次の100ページも公開する。要求を拒めば全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。

果たして犯人は誰なのか。そもそも密室からどうやって流出させたのか・・・。

 

だんだん話がややこしくなって、途中で酒の酔いから寝落ちしてしまったので感想はなし。すみません。

 

民放のBSで放送していたアメリカ映画「フットルース」。

1984年の映画。

原題は「FOOTLOOSE」

監督ハーバート・ロス、出演ケヴィン・ベーコンロリ・シンガージョン・リスゴーほか。

 

シカゴからアメリカ中西部の小さな田舎町に引っ越してきた高校生のレン(ケヴィン・ベーコン)。この町では、過去にある高校生が起こした事故を理由にダンスもロックも禁止されていた。「ロックは若者に害毒だ!」と熱く語る牧師ムーア(ジョン・リスゴー)の説教にうんざりしているのは、ムーアの娘エリアルロリ・シンガー)や町のほかの高校生も同じ。レンは、高校の卒業パーティーをダンスとロックで盛り上げようと計画する・・・。

 

いかにも1980年代っぽい青春映画。

レンが議員7人の町議会で訴えたときのダンスやロックを認めさせる理由が、踊りや歌うことを推奨する聖書の一節であるのがおもしろい。

ちなみに原題の「FOOTLOOSE」とは「自由にやろうよ」といった意味らしい。映画で流れていた曲は公開当時、日本でも人気になったし、マクドナルドのTVCMにも登場している。