善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「遙かなる大地へ」

フランス・ボルドーの赤ワイン「シャトー・ヴィルクール・コンテ(CH.VIRECOURT CONTE)2015f:id:macchi105:20191008102301j:plain

写真はこのあとメーンの肉料理が出る予定。

シャトー・ヴィルクール・コンテはアントル・ドゥー・メール地区の中心に位置するシャトー。ガロンヌ川とドルドーニュ川が合流する三角州に位置し、土壌は粘土石灰質で赤・白両方のワインが造られているという。

ブドウ品種はメルロ、カベルネ・ソーヴィニヨンカベルネ・フラン

フルーティな果実味と滑らかなタンニンが特徴のワイン。

 

ワインの友で観たのは昼間NHKBSで放送していたアメリカ映画「遙かなる大地へ」。

 

1992年の作品。原題「FAR AND AWAY」。

 

製作・監督・原案ロン・ハワード、出演トム・クルーズ、ニコール・キッドマン、トーマス・ギブソンほか。

トム・クルーズニコール・キッドマンとにかく若い。

 

物語は1892年のアイルランドから始まる。アイルランドを飢饉が襲い、農民たちは地主への不満を募らせ、反乱を起こす。その最中、小作農家の息子ジョセフ(トム・クルーズ)は父を殺された復讐のため地主の館に行くが、そこで地主の娘シャノン(ニコール・キッドマン)と出会う。

彼女は田舎の堅苦しい生活が嫌いで、アメリカで「モダン」な暮らしをしたいと願っていた。女一人での旅はできなかったのでジョセフに「アメリカまで連れて行ってほしい」と頼む。

アメリカでならだれでも自分の土地を持てると聞いたジョセフは彼女とともにアメリカに旅立つが、待ち受けたのは苦難の連続。しかし、ついにオクラホマで「ランドラッシュ」と呼ばれる土地争奪戦に加わり…。

 

アメリカでは、ヨーロッパからの移民を含めて多くの人々がフロンティアである西部をめざした。おかげで先住民たちは土地を奪われる結果となったが、政府は代替地としてオクラホマを提供し、その所有権を永久に保証した。

しかし、大陸横断鉄道の敷設で交通が容易になると、白人投資家や鉄道会社などは白人のオクラホマへの入植を政府に要望するようになり、ついにそれは実現した。先住民たちは雀の涙ほどの金と引き換えにせっかく得た土地を追われたという。

 

白人入植者たちに土地を与える方法とは、ランドラッシュと呼ばれるもので、最初にその土地に来た開拓者に開放されるというやり方だった。

決められた時刻に号令とともに一斉に駆け出して、めざす土地に一番乗りできればその土地の所有者となれた。最初にランドラッシュが行われたのは1889年で、5 万人に及ぶ入植者たちが 1 日で土地を奪い合い、一晩にして町が出現したという。

ランドラッシュは何回か行われ、ジョセフたちが参加したのは1893年に行われたものだったようだ。

先住民のチェロキー族のものだった広大な国と土地が政府に買い上げられ、入植者に開放されたという。

 

映画はハッピーエンドで終わるが、オクラホマの歴史はこれで終わりではない。

世界恐慌に襲われた1930年代、オクラホマは日照りとともにダストボウルと呼ばれる大砂嵐に見舞われていた。これは大規模な資本主義農業が進む中で、環境を無視した耕地化が土地の荒廃を生み、それによって発生した人災だといわれる。今のブラジル森林地帯の大火災と似ている。

耕作が不可能となって流民となる農民が続出。故郷オクラホマを追われた家族を描いた映画が、1940年に作られたジョン・フォード監督でヘンリー・フォンダ主演の「怒りの葡萄」だった。前年に発表されたスタインベックの小説の映画化作品だ。

ダストボウルで耕作不能となり、生活に窮したオクラホマの農民たちが、オンボロトラックに乗り、ルート66をたどって新天地・カリフォルニアに向けて旅立つ物語だった。

 

こちらはハッピーエンドでは終わらないが、理不尽な世の中ではあっても、どっこい負けないぞとたくましく生きる人々の姿が描かれていた。