善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

タルコフスキー 鏡

銀座メゾンエルメス10階にあるミニシアター「ル・ステュディオ」でアンドレイ・タルコフスキー監督の「鏡」を観る。

1974年のソ連映画

写真はパンフレットより。f:id:macchi105:20191006102815j:plain

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タルコフスキーが自身の幼少期を描いた自伝的作品。若き日の母と家族のもとを去った父、緑の草原と木立に囲まれた我が家、母が勤めていたモスクワの印刷所、雪の中の射撃訓練と初恋の少女。そして現在の自分や別れた妻と息子。タルコフスキー自身と家族にまつわる記憶の断片が、カラーとモノクロームの映像を交え、叙情的に、時に幻想的なタッチで描写される。

また、ソ連による成層圏気球の飛行、スペイン内戦、第二次世界大戦、中国の文化大革命などの記録映像が挿入され、当時の時代背景を映し出している。

本作にはタルコフスキーの母マリヤと妻のラリーサも出演しており、詩人として知られる父親のアルセニー・タルコフスキーが自らの詩を朗読している。

 

タルコフスキーの作品は「僕の村は戦場だった」しか見てないが、たしか日劇文化かなんかのATG映画館で観た記憶があるが、内容は全然おぼえていない。

 

本作も106分あったが、ところどころで眠気を誘われ、まわりのお客も居眠りしている人が多かった。

難解というより、脈絡のない映像が続くとどうしても眠くなる。

しかし、映像は美しいし(たとえばタルコフスキーの母親が農場の柵に腰掛けてタバコを吸っていると、医者を名乗る男が現れ、しばし言葉をかわしたあと去っていくが、男が去っていく中を風が吹き抜けていって、その風が波のように草原を揺らしていく)、それぞれのエピソードはとても寓意的で引き込まれるところも多い。

おそらくこの映画は、初めて観た人にとっては戸惑いしかなくて、2度、3度と見るか、あらかじめタルコフスキーの自伝でも読んでおくと含蓄を増してくるのかもしれない。

 

映画とは一期一会ではなく、同じ作品を何度も見ることで価値が出てくるものもありそうだ。

 

母マリアと妻ナタリア2役のマルガリータ・テレホワが好演。