善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+「デュプリシティ・・・」

イタリア・サルデーニャの赤ワイン「ゴイマヨール(GOIMAJOR)2013」
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サルデーニャイタリア半島西方のコルシカ島南の地中海に位置する島。昔はイワシ漁が盛んだったのだろう、イワシの英語名「サーディン」はこの島に由来しているという。
ブドウ品種はサルデーニャの土着品種であるカンノナウ95%。

食卓には肉よりも野菜料理が並ぶ。いいことだ。
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それと、チーズは24カ月熟成のコンテ。

酒の友で見たのは昼間NHKBSでやっていたアメリカ映画「デュプリシティ~スパイは、スパイに嘘をつく~」
2009年の作品。
監督・脚本は「フィクサー」のトニー・ギルロイ
出演はジュリア・ロバーツ、クライブ・オーウェンほか。

「デュプリシティ(Duplicity)」とは「二枚舌」とか「二心」とかいう意味だそうで、それじゃわからん、というので「スパイは・・・」の副題がついたのだろう。

元諜報員の男女の恋と産業スパイ合戦の物語。
トイレタリー用品で業界トップシェアを誇るB&R社と、新進気鋭の企業エクイクロム社は、日ごろから激しいシェア争いを繰り広げていた。元MI6の諜報員だったレイは、エクイクロム社のスパイに雇われ、画期的な新製品を開発したB&R社の最高機密を盗みだす任務に就く。そんな中、レイはかつて因縁のあった元CIA諜報員のクレアと再会するが・・・。

派手なアクションはなく、会話中心の映画なので飲んで食べてして映画を見ていると話がだんだんわからなくなってくる。
結局、よくわからないまま物語は終わったが、印象に残ったのは資本主義大国アメリカにおける競争社会の現実。それも額に汗してがんばるのではない、よこしまなやり方での。
金儲け優先社会における企業にとっては、大企業であろうと正義とか道徳、ましてや仁義なんかは不要で、競争相手の会社が開発した技術をまるごとそっくり盗んででも自分がイチバンになりたいのだ。

この映画を見て思い出したのはマルクスが「資本論」の中で言っている「わが亡きあとに洪水は来れ」の言葉だった。

マルクスはこう言っている。
「どんな株式思惑においても、いつかは雷が落ちるに違いないということは誰でも知っているが、自分自身が黄金の雨を受け集め安全な場所に運んだ後で、隣人の頭に雷が命中することをだれもが望むのである。“大洪水よ、わが亡きあとに来たれ!”これがすべての資本家およびすべての資本家国民のスローガンである。それゆえ、資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない」

このくだりのあとでマルクスはこうも付け加えている。
「しかし、このこともまた、個々の資本家の善意または悪意に依存するものではない。自由競争は、資本主義的生産の内在的な諸法則を、個々の資本家にたいして外的な強制法則として通させるのである」
つまり、資本家をそうさせるのは彼らの性根が腐ってるからではない。資本主義社会における自由競争とは否でも応でもそうならざるを得なくなるのだ、といってるのである。

この「わが亡きあとに洪水は来れ」については日本流の名訳がある。
それは「あとは野となれ山となれ」
原発推進の結果、日本がメチャメチャになろうが(現に福島ではそうなっている!)、アメリカに追随して日本が海外に戦争をしにいく国になろうが、あとのことは知ったこっちャネーよ、そのときはそのときだ、というわけで、彼らは悪意でそう思ってるのでなく、それが当然と思ってるから始末が悪い。