善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

エチオピア旅行記⑨ ダナキル砂漠と北エチオピア世界遺産周遊

旅行7日目、1月16日(土)の岩窟教会群めぐり。
教会から教会へは岩をくり抜いた細い道を歩いていく。
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十字架模様の窓。
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こんな形の窓も。
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聖母マリアにだかれるイエスもアフロヘア。
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壁に彫られた聖人。
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風化のあとも。
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この日、いちばん驚嘆したのが聖ギオルギス(ジョージ)教会だ。
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ナント、一枚岩を掘り下げてつくられている。まさしく“一刀彫の教会”。高さ12m、奥行き12m、幅12mで十字架形をしている。
内部には柱はなく、壁で天井を支えている。
エチオピア正教のもっとも重要な守護聖人の一人、聖ジョージを奉る教会。
近寄ってみるとこんな形。
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当時の道具といえば素手にノミとツルハシぐらいだっただろう。固い岩を掘り抜いて教会をつくっちゃうなんて、信仰の力なのだろうが、よくも人間がこんなものをつくったものだと、ただただ感嘆するばかりだ。
教会へは細い道を下っていく。
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内部は薄暗い。
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実に見事に、きれいに彫られてある。
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教会前の壁の穴は遠くからやって来た巡礼者が寝るためという。
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遠くからのながめ。
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夜はホテルの近くにある民族音楽を楽しめる店で食事。近いといっても外は街灯がなく、夜は真っ暗だから懐中電灯が必須だ。

この店では、これもエチオピア独特の「蜂蜜酒」を飲んだ。暗くてわかりにくいが・・・。
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「タッジ」という。ゲショと呼ばれる木の枝を煮出した汁と、蜂蜜とを混ぜ合わせて発酵させて造る。
飲んでみると、ほのかな酸味と甘み、それに蜜蝋みたいな、イーストっぽいような、今まで味わったことのない複雑な味がした。

食事をしていると数人のグループがあらわれ、背広姿のオジサンが楽器を弾きながら歌いだした。
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楽器は「マシンコ」といって、一弦のバイオリンみたいな楽器。あとで聞くとひし形の木のフレームに山羊の皮を貼り付けて作られ、 弦は馬の毛をよったものが使われている。
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憂いを帯びた旋律に、歌声。
どこか日本の歌に似ている。
そういえば、ダナキル砂漠で4WDに乗ったときもドライバーがエチオピアのポピュラーソングを聴かせてくれたが、日本の演歌とか民謡のような旋律に懐かしさを覚えた。

これも日本に帰って分かったことだが、エチオピアの音楽は日本と同じヨナ抜きの五音階の曲が多いという。それで「どこかで聞いた歌だな」という既聴感を覚えたのだろうか。
エチオピア音楽の根底に流れるのは各民族の伝統音楽だろう。それに古代キリスト教の宗教音楽が融合し、エチオピア音楽が発達したという。8世紀ごろからはイスラムの勢力が及んできているから、その影響もあるかもしれない。
それでも、エチオピア音楽の基本は1オクターブに5つの音でメロディーを奏でる五音階なのだ。

実は旅の終わりに、年に一度のエチオピア正教の重要行事であるティムカット祭に参加するのだが、そのとき聴いた宗教者らが奏でる音楽も五音階で、何には沖縄・八重山の民謡「とぅばらーま」を思わせるメロディーもあって驚いたものだった。

女性たちの踊りも独特のものだった。
マシンコの旋律に乗せて、首や肩、胸を小刻みに、震えるように揺らして踊る。
この独特の踊りはラリベラがあるアムハラ州の「ウスクスタ」という踊りだという。
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