善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

コーカサス3国旅行記⑦

コーカサス3カ国の旅5日目は、ジョージアから陸路アルメニアへ。
朝、トビリシのホテル前に咲いていたコーカサスアカシア。
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ほかにも見慣れない花が。
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アルメニア入国にもビザが必要で、国境で取得する。
国境を渡ると今度はアルメニアのバスとガイドが待っていた。
アルメニアは平均標高が約1800mの高原にあり、国土の90%が標高1000m以上といわれる。
アルメニアという国も列強各国に運命をもてあそばれた国だ。
すでに紀元前の時代には大アルメニア王国という王国が繁栄したといわれるが、やがてギリシャ・ローマ世界とペルシャ・アラブ世界の緩衝地域となり、それぞれの支配を受けるようになる。ローマの支配下にあった301年、世界で初めてキリスト教を国教化するが、その後もトルコ、ロシアの支配を受けるようになる。やがてソ連邦の一員となり、ソ連の崩壊により独立を果たす。

首都エレバンに向かう途中、丘の上に立つハフパト修道院を見学。
走るバスの窓から切り立った崖を見ると、火山活動によってできる柱状節理(溢れ出たマグマが冷えるときにできる規則的な岩の割れ目)が連続してあらわれる。このあたりはかつて活発な火山地帯だったに違いない。
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したがって、ハフパト修道院に限らず、アルメニアの多くの教会や修道院の建物は火山岩を加工した切石によって建てられている。
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アルメニアキリスト教は正しくは「アルメニア使徒教会」という。
アルメニアでは、教会の中に亡くなった人の柩を入れてはいけないというので、教会の前にいくつもの墓石が並んでいる。その下に亡骸が埋まっているのだろう。
墓石が並ぶ教会の前の空間を「ガヴィット」というのだそうだ。

教会内部はとても簡素で、ほとんど装飾はない。使徒教会はイコンを禁じていたそうで、その理由は神様の前ではみな平等であり、教会とは誰もが落ち着くところなのだから簡素なつくりにしたのだという。

建築の手法についても、長方形で三角屋根の建築洋式であるとか、上から見ると十字型形であるとか、祭壇は東にあるとか、いろいろと特徴があるらしい。

もうひとつアルメニアで特徴的なのは「ハチュカル」という十字架のモニュメントだ。火山活動に由来する岩石が豊富な“石の国アルメニア”。有り余る石を見れば何かに加工したくなる気持ちもわかる。
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ピンク色をしたハチュカルは火山灰が固まってできた凝灰岩でできている。
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なお、凝灰岩はアルメニアで多く産出する石材であり、ピンク色のほかにも茶色や灰色のがあり、建物の壁に使われている。

昼食のとき出てきたデザートは、マドレーヌのようなケーキに、「ハルヴァ」というお菓子。油と小麦粉と砂糖で固めたもので、甘いんだけど不思議な食感。どれもアルメニア伝統のデザートらしい。
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レストランの庭に咲く花にミツバチが訪れていた。
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続いて行ったのはコーカサス最大の湖、セバン湖。標高1900mもの高地にある。
セバン湖畔にあるセバン修道院と聖母教会。
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聖母教会の中に置かれたハチュカルにはキリストが掘られてある。中央が磔にされたキリスト。その周りは聖書に出てくる物語が描かれている。キリストの髪の毛が異常に長い。
かつてモンゴル帝国が攻めてきたとき、モンゴル民族は弁髪といって、後頭部を除く頭髪を剃り上げ、残した髪を長くのばして背後に垂らす風習があり、それをまねたキリストの姿にしたところ(あるいはたまたまそうなったか)、モンゴル人による破壊をまぬがれた、との説があるらしい。
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夕刻、エレバンに到着。車窓からの風景。
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市内のレストランで食べたのは、肉や野菜の具をナンのような薄いパンで包んだ「クルジャン」という伝統料理。「風呂敷」の意味だというが、アルメニアに風呂敷なんてあるのか?
結び目がほどけないように楊枝が刺してあった。アルメニアに楊枝があるのか?
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