善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ポルトガルの旅 その6 アマレスのポサーダ

ポルトガルの旅6日目、ブラガでサッカースタジアムを見学してからの続き。

サッカースタジアムまでUberで迎えにきてもらい、アマレスのポサーダ(修道院を改修したホテル)をめざす。
ポサーダに到着したのは17時ごろ。
サンタ・マリア・ド・ボウロという田舎町にあるが、てっきり山の中とか森の中のひなびた場所にあるかと思ったら、町の中心地にあった。
それもそのはずだ。修道院には教会が隣接していて街の人々の信仰の対象にもなっていただろうから(ちなみに教会は今も現役)当然のことだ。

もとは12世紀に建てられたシトー派の女子修道院だったのを、ポルトガルを代表する建築家でプリツカー賞受賞のアルヴァロ・シザの元弟子で同じくプリツカー賞受賞のポルトガルの建築家エドゥアルド・ソウト・デ・モウラが、1987年から97年までの約10年間かけてホテルに改修した。
32室の5つ星ホテル。今回のポルトガルの旅で一番贅沢した宿だ。

ちなみにシトー派というのは12世紀ごろフランスで始まった修道会で、修道院がだんだん堕落していって、富を蓄え、世俗的な享楽にふけるようになってきたのを改革しようと始まった運動の中心となったグループ。シトー派の修道士たちは自己犠牲、清貧、福音主義を象徴する白衣を身にまとっていたという。

左が教会、右が修道院を改修したホテル。
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ホテルの入口。「Pousada Mosteiro de Amares」というホテル名が右下にさりげなく表示されている。
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設計者のモウラは修道院をヘタに壊したりせずに昔のままの形で残し、ホテルとして使いやすいように工夫して改修したという。オリジナルの部分をできる限り残し、改修は最小限にとどめたというから、改修というより補修というべきか。
ホテルの入口も元の修道院の入口がそのまま使われているようだ。
石造りの壁が重厚感を漂わせている。

入口を入ってすぐに広がるパティオ(中庭)。
整然と並んでいるのはオレンジの木だという。
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格子の窓。12世紀のころもこんな風景だったのか。
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部屋にかかっていた絵。
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ところが、中には冷蔵庫が隠れていた。
部屋の雰囲気を壊さないためのニクい演出。
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部屋の窓からのながめ。
遠くに山並みが見える。
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荷物を置いたあと、ホテル内を“探検”。

廊下にあった石のベンチ。
その昔、修道士たちが座って書物を読んだり、休んだりしたのだろうか。
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パティオをとりまく回廊。
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ホテル1階のトイレに飾ってあったスケッチ。
男子トイレをあらわしていて、モウラの師匠のシザの手になるもの。お尻がリアル。女性トイレの入口にも女性を描いたシザのスケッチが飾ってあった。モウラの遊び心。
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ホテル内のレストラン。
かつての修道士たちの食堂でもあったらしい。
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ホテル内の通路も歴史を感じさせる。
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外套かなんかをかけるハンガーもシャレてる。
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廊下の天井はすべてコールテン鋼。
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鉄の大敵は錆。ほっておくと見た目にも耐久性にも問題がおきてしまう。そこで、銅やクロムなどを添加して錆の進行を防ぐ工夫をしたのがコールテン鋼。錆のデメリットをメリットに変え、あえて表面にのみ錆を発生させて、それ以上錆ないように加工した鋼といえばよいか。ときがたつと化学反応により独特の風合いが出て、石造りの建物などとの相性がよいといわれる。

ホテルの外壁。
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レストランの南側はテラスになっていて、池に水がたたえられていた。夜になるとカエルの合唱が始まる。
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プール。楕円というか卵形をしている。
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再び部屋にもどって、壁にかかっていた絵。
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ムム、このスケッチはひょっとしてシザが描いたのでは?
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夕食はホテルのレストランで。
タコのマリネ、エビのタリアテレ、トラディショナルソーセージ、バカリャウ、揚げブタとミンチミート&栗、2本のワイン。
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食後はテラスに出て夜空をながめる。
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だんだん漆黒の空になって、星の数が増えてくる。
池ではカエルが鳴き出し恋を語り合っているよう。
時間が止まったようなひとときだった。

壁に映った窓のあかり。
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