善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

コーカサス3国旅行記⑧

コーカサス3カ国の旅6日目の15日(水)は朝食後、アララト山と市街地が見渡せる(はずの)カスケードという長い長い階段をのぼった先にある高台に立つが、市街地は見渡せるがモヤで煙ってアララト山は見えず。
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アララト山はトルコの東端、イランとの国境ほど近くにそびえる火山であり、標高5137mの大アララト山と、その東南に位置する標高3896mの小アララト山の2つの大きな山から成る。
今はトルコ領内だがその昔はこのあたりまでアルメニア人が住んでいて、アルメニア民族のシンボルとなっている。
アルメリアがあるアルメリア高原はチグリス・ユーフラティス川の源流であり、アルメニアメソポタミア文明にも負けない文明を持っていた。『旧約聖書』に登場する「エデンの園」とは実はアルメニアにあったといい、「ノアの方舟」が流れ着いたのはアルメニア高原に位置するアララト山であったという。したがってアルメニア人はノアの箱船に乗って生き残った人類の末裔であるという。

ガイドさんから聞いたおもしろい話がある。
今はトルコ領内にあってもアルメニア人の心のよりどころであるアララト山は国章にも描かれている。そこで国際会議かなんかでトルコの代表がこう文句をつけたという。
アララト山はわがトルコにあるのに国章に描くなんてけしからん」
アルメニアの代表はこう反論したという。
「そんなことをいうなら、月はあなたの国のものではないのになぜ国旗に月が描かれているのか?」
それに対するトルコ側の反論は聞き逃した。

カスケードで見た現代アートの数々。
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観光はまずエレバン近郊にあるホルヴィラップ修道院、そしてアルメニア使徒教会の総本山、エチミアジン大聖堂へ。

ホルヴィラップ修道院(写真右下)の向こうに、ようやくアララト山が見えてきた。手前はブドウ畑。
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ホルヴィラップ修道院
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ホルヴィラップとは「深い穴」を意味するという。
するとここには昔は井戸でもあったのか。
建物をよく見ると、土台と上棟は別々に建てられたのがわかる。ガイドさんによると、修道院になる以前、この建物は古代信仰の儀式に使われたのではないかという。
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キリスト教以前の古代信仰といえば、この地域では少なくとも1世紀ぐらいまではミトラ教、あるいはゾロアスター教が信仰されていた。ミトラ教の神は太陽であり、太陽信仰の儀式がここで行われていたのかもしれない。

ホルヴィラップ修道院はこの国のキリスト教の国教化と深い因縁を持っている。
伝説によれば、古代信仰が信じられたころの西暦300年ごろ、アルメニアキリスト教の布教を行っていたグレゴリウスという人が時の国王に捕らえられ、今は修道院となっているこの建物の地下牢に閉じ込められた。
以来13年間、彼は生き続けたという。
どうしてか? 聖なる故か?
答えは簡単で、地下牢には実は抜け道があって、近くの人がこっそりグレゴリオスに食べ物を差し入れていたのだという。
13年たったあるとき、国王は病気にかかり、「王の病気を治せるのは地下牢にいるグレゴリオスだけだ」という王の妹の助言を聞いて、グレゴリオスを解放したところ病は全快。これまでの仕打ちを悔い改めてキリスト教を国教と定めたという。
グレゴリオスは最初の総主教となり、かれが閉じ込められていたのを記念?して、穴の上に教会が建てられた。

少女がロウソクを灯していた。
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アルメニア使徒教会の総本山がエチミアジン大聖堂
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入口の丸いマーク。キリスト教以前の太陽信仰の名残だろうか?
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天井に描かれたフレスコ画
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ここの宝物館には大変なものが所蔵されている。
まずはノアの箱船の木片。十字架の下の板がそれ。ガイドさんによるとホンモノとのことだが。
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キリストの脇腹を刺した槍の先だという。
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総主教が何か特別なときにしか羽織らないという衣には中国人風の人物が描かれている。
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昼寝でもしているのか?
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このあとはガルニ村へ。