善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+「雨月物語」

きのう飲んだ赤ワインは「カデ・ドック・ピノ・ノワール(CADET DOC PINOT NOIR)2013」。
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先日飲んだのと同じパロン・フィリップ・ロスチャイルドが手がけるワイン。ただし、先日のはブルゴーニュ産だったが、きのうのはラングドック・ルーション産。
酸味がさわやかで、飲みやすい。
ピノ・ノワール100%。

ワインの友で観たのは先日NHKBSでやってた『雨月物語』。
1953年の作品。監督は溝口健二、脚本・川口松太郎依田義賢、撮影・宮川一夫、美術・伊藤熹朔、音楽・早坂文雄、歌詞・吉井勇と、スタッフだけでもそうそうたる顔ぶれ。
しかし、このころはまだみんな若かっただろう。
歌詞・吉井勇とあるのは、途中、姫君が舞うシーンが出てくるので、そのときの歌詞を書いたのだろう。

上田秋成の「雨月物語」9話のうちの「蛇性の婬」と「浅茅が宿」をアレンジした川口松太郎の小説(オール読物掲載)を原型に川口松太郎依田義賢が共同脚色したという。

出演は、京マチ子水戸光子田中絹代森雅之小沢栄太郎と懐かしい顔ぶれ。
先日の『地獄門』といい、京マチ子の妖しげで美しいこと!

最後のシーン(カメラは荒れ果てたわが家に帰った森雅之長回しでとらえ、彼がいったん家の外に出て再び中に入ると、そこには囲炉裏の火とともに妻の田中絹代がほほえんで待っている)がすばらしい。(実は田中絹代は武士の襲撃から逃げるところを殺されてしまっていた)
その場面に、男の欲望の果てのはかなさ、さらには、戦争に巻き込まれた庶民の悲惨と苦渋、本当の幸せとは何かが凝縮されている。
同じ撮影手法(あるいはアイデア)を、山田洋次三国連太郎主演の『息子』に取り入れていたのを思い出した。

もうひとつ、最後の音楽になぜか「黒田節」が出てきた。
戦国時代の物語になぜ「酒を飲め飲め~」の「黒田節」かと思ったが、元々の歌は戦国時代の逸話をもとに黒田藩の武士たちが今様歌をつくり歌っていた。それが「黒田節」に変わって昭和18(1943)年に赤坂小梅がレコードに吹き込んだのが大ヒットしたのだとか。

いずれにしろ、先の戦争を「侵略戦争だった」と決して認めようとしない(ここが重要)首相による「ふたたび戦争する国」への転換が進んでいる今こそ、ぜひとも観たい映画だと思った。