善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

地球温暖化とテントウムシ

善福寺公園テントウムシをよく見かけるようになった。

テントウムシといえばよく耳にするのはナナホシテントウナミテントウ。両方ともアブラムシを主食とする益虫。しかし、善福寺公園でよく見るのはナミテントウだ。
けさもお盛んなナミテントウ
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テントウムシに特徴的なのが背中の模様(斑紋)。ナナホシテントウは赤地の背中に7つの黒いホシ(紋)があるが、ナミテントウのほうは、大きく分けると黒地に赤いホシのあるタイプと赤地に黒のホシのあるタイプの2つに分けられる。

黒地に赤いホシがあるものは3種類に分けられ。ホシの数の違いから、2個が「二紋型(もんがた)」、4個が「四紋型」、12個が「斑型」と呼ばれている。
そして赤地に黒いホシがあるのは「紅型」。
つまり4種類の斑紋に分けられるわけで、人の血液型と同様、4つの遺伝子の組み合わせで斑紋は決まるといわれる。
これは二紋型。
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こちらは紅型。
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正面からみると・・・。
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幼虫のころはブキミ。この幼虫はナナホシテントみたい。
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サナギ。脱皮を繰り返して成虫になる。
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ところで、テントウムシについて意外なことを知った。
ナミテントウの斑紋のタイプを地域別に調べると、北に行くほど紅型が多く、南に行くほど黒地に赤いホシのあるタイプ、中でも二紋型が多いという。
そして、北のほうでも、だんだん二紋型の割合が増えているそうで、地球温暖化が原因ではないかといわれている。

ある調査によると、60年ほど前は北海道旭川市で一番多いのは紅型で57・5%、二紋型が29・2%だった。これに対して長崎市では、二紋型が84・2%で、紅型は4・4%のみ。
ところが最近の調査結果によると、60年前と比べて、ほぼすべての地域で黒い二紋型が増えて、赤い紅型が減っていた。
旭川市では、昔は少なかった二紋型が42・6%に増えて最多となり、紅型は33・3%に減った。長野県諏訪市でも、二紋型は56・3%から75・0%に増え、反対に紅型は28・8%から11・6%になった。

なぜ模様に変化が出てきたのか?
テントウムシは意外と暑さに弱い(寒いシベリアが故郷ともいわれる)。そこで、夏暑い西日本では、夏になると葉の裏でじっとして、活動を止めるという。したがって繁殖期も夏ではなく春と秋になる。すると涼しいこの季節には、赤より黒いほうが太陽光をより多く集めて体を温めることができるので、黒地に赤いホシの二紋型が増える。

一方、北海道や東北地方では夏も涼しいので、繁殖期も夏。ただし、涼しいといっても夏の日差しは強いから、強い日差しをマイルドにしてくれる赤い背中のほうが有利となり、紅型が多くなる。
ところが、地球温暖化で各地の平均気温はこの半世紀で1~2度上がっているといわれる。東北や北海道も暖かくなって、繁殖時期も西日本に準じるようになり、赤地より黒地の模様を選ぶテントウムシが増えるようになってきている、というのだ。

つまり、ナミテントウは気温に適応して模様を選ぶことにより、地球温暖化にうまく対応しているといえよう。
いやあるいは、地球温暖化から何とか種を守ろうとする苦肉の策が、赤より黒ということなのかもしれない。