橋本氏については、東大生時代「とめてくれるなおっかさん 背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」の駒場祭のキャッチコピーをつくったとか、一時編み物に凝ってたらしい、ぐらいしか知らないが、文楽ファンとしては「浄瑠璃」のタイトルにひかれて借りた。
しかし、読み始めてガッカリ。いったいこの人は何を言いたいの?といらだつほど、自分勝手な理屈をエンエンと押しつけるものだから、「浄瑠璃を読む」どころではなくなって、とうとう我慢できなくなって半分ほどで読むのをやめた。
(ああ、最初の数ページで読むことのムダをもっと早く気づくべきであった。人生はムダも必要というが、こういうムダも意味があるのだろうね)
(ああ、最初の数ページで読むことのムダをもっと早く気づくべきであった。人生はムダも必要というが、こういうムダも意味があるのだろうね)
もう1冊の岩波ジュニア新書のほうは、著者の名前にひかれた。佐藤氏は植物遺伝学の立場からイネの起源を探究している人。たしか、稲作の起源は長江流域にあるとの説をとなえたのも佐藤氏じゃなかったか。
とにかくイネについて詳しく、食べるのも大好きらしくて、この本もおもしろかった。
とにかくイネについて詳しく、食べるのも大好きらしくて、この本もおもしろかった。
米を食べるのは日本人とか一部のアジアの民族と思っていたが、実は米は小麦とならんで世界中で一番多く人びとに食べられている穀物なのだとか。生産量としてはトウモロコシのほうが上だが、こちらは飼料の割合のほうが高い。
もちろん稲作はヨーロッパやアメリカ、アフリカでも行われている。
たしかに、スペインにはパエリアがあるし、イタリアにはリゾット、ほかにもライスサラダなんてのもある。日本人にとって相性がいいのは「米と魚」あるいは「米と大豆(納豆、味噌、豆腐)」だが、ヨーロッパでは「米とミルク」が相性がいいのだとか。
たしかに、スペインにはパエリアがあるし、イタリアにはリゾット、ほかにもライスサラダなんてのもある。日本人にとって相性がいいのは「米と魚」あるいは「米と大豆(納豆、味噌、豆腐)」だが、ヨーロッパでは「米とミルク」が相性がいいのだとか。
ちなみに、なぜ「米と魚」「米と大豆」が相性がいいかといえば、糖質+タンパク質という人間の体に必須の栄養を取り込むことができるからだ。それで日本では米が主食になっているわけだが、「米とミルク」はどうなんだろう?
本書を読んでへえ~と思ったのは、沖繩の泡盛はもち米を原料にしていること。タイ米(インディカ米)が原料とは知っていたが、うるち米ではなくもち米だったのか。ちなみに本土の日本酒の原料はうるち米だし、米焼酎も多くはうるち米である(焼酎の中にはもち米を使っているのもあるらしいが)。
もう1つおもしろかったのが気候風土の話で、アメリカは今や世界第3位の米輸出国だが、米産地の1つがカリフォルニアのサクラメント・バレーと呼ばれるところ。
ここは乾燥した気候で、特に夏は地中海と同じくらいのとても強い日差しがあるという。これは稲作の必要条件であり、もう1つ、これに水が加われば、格好の稲作地帯になるんだそうである。日本も、暑い夏と台風や梅雨を始めとするある程度の雨が降るから米づくりが盛んになったんだね。
ここは乾燥した気候で、特に夏は地中海と同じくらいのとても強い日差しがあるという。これは稲作の必要条件であり、もう1つ、これに水が加われば、格好の稲作地帯になるんだそうである。日本も、暑い夏と台風や梅雨を始めとするある程度の雨が降るから米づくりが盛んになったんだね。
今、アメリカは日本とかアジア人に食べさせるために米をつくっているが、健康志向が高まって「米と魚」「米と大豆」の相性のよさに気づくようになれば、自国民が食べるための米生産がもっと盛んになるかもしれない。
日本では消費量が減ってる(半世紀の間に年間消費量は半減)が、米こそは世界の食べものだ!と再発見ができた本だった。