善福寺公園めぐり

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アフリカの染織

土曜日の午前中は新宿の文化学園服飾博物館で開催中の「アフリカの染織」展へ。

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独自の美意識と創造性により作られてきたというアフリカの染織を地域別に紹介する展覧会。イスラムとヨーロッパの要素が調和したモロッコチュニジアの衣装とか、マリの泥染め、コンゴ民主共和国のラフィア糸の織物、ウガンダの樹皮をたたいて延ばした不織布など、アフリカ25カ国の染織品約100点が展示されている。
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これはコートジボワール北部からマリ、ブルキナファソに住むセヌフォ族の呪術的な願いを込めた手描き布。
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魔よけ、子孫繁栄、村の発展などの意味を持つといわれ、文様を描くのは男性。呪術的な力を布に宿らせるため、力強い線で描いていくという。染料には鉄片やトウモロコシ、樹木などを煮詰めて発酵させた液を用いる。

こちらはラフィア(ヤシ科の植物)の若葉から採る糸で筒状に編み、これを切り開いて1枚の布の状態にしているという。儀式用の肩掛けで、絞り染めで模様を表現している。
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全体をウコンで黄色に染めたあと、糸でくくって防染し、アフリカンバドックという樹木などから得られる染料で赤く染める。アフリカンバドック(日本のカリンと同じ属)の心材は鮮やかな赤褐色で、染料になるのだとう。

糊防染の布もあった。ナイジェリアの布で、糊防染により文様を表した藍染布。アディレ・エレコと呼ばれるという。
キャッサバの根やトウモロコシなどから作るでんぷん糊を羽根の軸や葉の付け根に含ませ文様を描く。これを藍で染めたあと、糊をはがせば、糊のついた部分は白く染め残される。
考えてみれば、日本でも同じように糊防染の手法で染織が行われている。
私が知っているのは型染めだが、藍を使った型染めもある。糊として使われるのは同じ澱粉でも日本の場合は米(もち米の粉と糠)が原料である。稲作の国ならではの発想であろう。
沖縄の紅型の技法にも型染めがあるが、やはり防染糊が用いられる。糊の原料はやはりもち米と糠だ。

アフリカでも日本でも、同じようにでんぷんを糊として使っている。ルーツも同じなのだろうか?

ウガンダのバーククロス(樹皮布)も興味深いものだった。
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イチジクの木の、表皮のすぐ内側の皮の部分(篩部というらしい)を材料に使っているというが、長年の生活の知恵の中から生みだした原料なのだろう。
樹皮といっても、一番外側は主に死んだ細胞からなる木部であり、内皮の部分はそれとは異なり樹液を送り込む生細胞から成っている。生きている細胞を使えば加工もしやすいし、仕上がりも美しいに違いない。
樹木から剥がしたこの皮を、木製の槌で何度も何度も叩きのばし、繊維をフェルトのように絡み合わせて布状にしている。表面はあざやかな茶色をしているが、これは染めたのではなく、日光に当てることでタンニンが反応して発色したものという。
現代のわれわれが着ている服だって、結局は繊維でできている。衣服の原点といえるものだろう。

北アフリカの服にはキラキラ光る装飾がほどこされているものが多い。
理由は「邪視」を払いのけるためである。
人や物に災いをもたらすような目のことを邪視といって、要するに邪悪な目。イスラム教との関係が深いのか、「ファーテマの手」という手の形をしたおまじないみたいなのを服につける習慣もあるようだった。
ファーテマはイスラム教の予言者ムハンマドの娘で、「ファーテマの手」は邪視を払いのける魔よけの力があるといわれる。

話は違うが、ブータンチベット、ネパールの仏塔(チョルテン)にはよくデカデカと「目」が描かれているが、こちらは「真実の目」といって、ブッダの目をあらわしている。
邪悪の目、正義の目、目にもいろいろあるものだ。

帰りはカレーうどん専門店の「千吉」という店で昼食。頼んだのはビールに冷製グリーンカレーつけうどん。
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カレーうどんといえばそば屋のカレーうどんしか食べたことがなかったが、ここのはタイ風のココナツミルクカレーにうどんの組み合わせ。しかも、冷たいカレーに冷たいうどん。
こんなメニューがあったのか、と新発見した次第で、なかなかおいしかったよ。