善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ひっくりかえる展

神宮前のワタリウム美術館で開催中の「ひっくりかえる展」を観る。
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「ひっくりかえる」をテーマに、従来の価値観や見方などを変え、社会の変革を目指して表現活動を続けるフランス、日本、ロシア、カナダ、アメリカなどのアーティストが作品を発表している。

興味深かったのは、日本のChim↑Pom(チン↑ポム)というアート集団による丸木位里丸木俊の「原爆の図」のオマージュ。
「原爆の図」が最初に発表された1950年、各地で巡回展が企画されたが、その様子が今井正・青山通春監督の短編映画で紹介されていた。
当時は米軍占領下で、GHQによる報道規制の真っ只中にあった。そんな中、丸木夫妻は「原爆の図」を木箱に入れて持ち運んだという。

実は「原爆の図」は巻物になっていて、たしかにそれなら木箱に収められる。それだけではない。巻物なら展覧会に妨害の手が伸びてもツルツルと巻いて素早く持って逃げることができるという。
そうか、巻物とはそんな役割を持っていたのか!?

アメリカのアーティスト・イエスメンの作品というか映像もおもしろかった。
2009年7月4日早朝、ということはアメリカの独立記念日に、1000人のボランティアが100万部を超えるニセのニューヨークタイムズ号外を市民にばらまいた。
その様子が映像で紹介されていたが、1面トップは「イラク戦争が終わった」で、ほかに「ジョージ・ブッシュを国家反逆罪で起訴」「イラク駐留兵即時帰国」「健康保険法施行へ」といったニュースに、新聞を読む市民たちが一様にニッコリする表情がゆかいだ。


ロシアのアート集団が、ロシア連邦保安庁前にある跳ね橋の路面にペンキで65メートルもの男性器を描いた作品も笑えた。