善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

デイヴィッド・ゴードン 二流小説家

正月3日の善福寺公園は晴れ。でも雲も多い。
先日見つけたロウバイの木のすぐそばにもう1つロウバイの木があり、そちらは鈴なりで咲いている。
たしかにこっちのほうが日当たりがよい。
サクラは温度で咲くが、冬に咲く花は太陽の輝きで咲く光の花。
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下池に回ると、池の水が善福寺川に落ちるあたりにコサギがエサ探しをしていた。
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デイヴィッド・ゴードン『二流小説家』 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)を読む。

軽すぎるというか、ハンパな知識をひけらかすふうの鼻持ちならない書き方にいらだちつつも、がまんして読んでいくうち、おもしろくなる。

作者はニューヨーク生まれで、映画、出版、ファッション、ポルノ産業でキャリアを積み本作が小説デビュー作。アメリカにおけるミステリーの最高峰「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」の11年度ベスト・ファースト・ノヴェル(最優秀新人賞)ノミネート作。日本でも話題になっている。

あらすじは──。
「ぼく」ことハリー・ブロックはニューヨーク在住の売れない中年作家。ポルノ、SF、ミステリー、ヴァンパイアものと、すべてペンネームと著者近影では他人の顔を借りて糊口をしのいできた。そんな「ぼく」が出くわした事件を手記風に綴っている。ゴーストライターの苦悩ぶりがよく伝わってきて親しみを感じる。

きっかけは12年前に4人の女性を惨殺した殺人鬼で、死刑執行を3カ月後にひかえたダリアン・グレイからの告白本の執筆依頼。ダリアンは「ぼく」に真実を明かすことの条件として、なんと彼を熱烈に信奉するファンの女性たちをからめたポルノ小説を書けといってきた。いやいや女性たちを取材するうち、彼女たちが12年前のダリアンの手口そっくりに猟奇的に惨殺されるに及んで、事態はとんでもない展開を見せる。

惨殺場面など、かなりグロテスクな表現が多い。それ自体は別に驚かないが、そういう小説がベストテンのトップを占めるほど人気になっているというのは、現代はそれだけグロテスクに寛容になっているということなのか。