善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

赤トンボが赤いワケ

水曜日朝の善福寺公園は、はじめ曇っていたがだんだん晴れてくる。
曇っているときは涼しくてすごしやすいが、日が差すにつれて暑くなる。

けさは上池と下池にカワセミが1羽ずつ。
まずは上池のカワセミ
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珍しく高い梢に止まっていた。
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やがてどこかへ飛んでいったが、池の端を歩いていると、さっきのカワセミ
休憩中なのか、しきりに毛繕いしている。
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そーっと後ろに回ってパチリ。
やがて青い背中を見せながら池の真ん中の方に飛んでいった。
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下池ではメスのカワセミ
あっち向いたりこっち向いたりしていた。
朝はみんな忙しい。
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けさも真っ赤な赤トンボ。
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このところ赤トンボを毎日のように見るが、真っ赤っかな色をしている。しばらく前まではそんなに赤くなかったが、なぜこんなにも真っ赤っかになったのだろうか?

実はそもそも赤トンボという種類のトンボは存在してなくて、あくまで通称。赤トンボとは秋に現れる体が赤いトンボの総称で、本州ではアキアカネが代表的な種だという。
赤トンボは初夏に羽化するが、夏の間は黄色で、赤くない。やがて成熟して秋が深まるころになると真っ赤な赤トンボへと変身していく。それもメスは色は変わらず、赤くなるのはオスだけだという。
しかし、これまで赤トンボがなぜ赤くなるかについてはわかっていなかったという。最近ようやく赤く見えるようになる仕組みがわかってきた。

それによると、赤トンボには「オモクローム系色素」と呼ばれる色素が含まれていて、この色素は化学反応を起こして酸化が進むと黄色に、酸化と反対の還元反応を起こすと赤色に変化する。オスが赤くなるのは還元反応が強く起こるためだ。
では、なぜそんな化学反応が起こるのかはまだはっきりとはわかっていないが、推測されるのは、成熟した赤トンボのオスは秋になるとメスを求めて日の当たる場所で長時間過ごすようになり、そうなると紫外線によるダメージを受けやすい。これを防ぐために還元を起こす抗酸化物質をたくさんつくって赤くなるのではないかというのだ。

つまり、オスの赤い色は、ふりそそぐ太陽の強い光、すなわち紫外線から体を守る役目を持っているのだ。

実は同じような働きを植物もしている。
植物の赤い色はアントシアニンという色素成分だが、これは活性酸素の生成を抑制する働きをしている。
たとえば植物の実は最初は緑色をしていることが多いが、これは果実の表層に葉緑体があり、光合成によって実を成長させている。しかし、できるだけ長期間、太陽光に当たるためには強い光のストレスから身を守ることが必要で、アントシアニンという赤い色素によるフィルター効果によって太陽光からの強い酸化ストレスを避けていると考えられている。
赤ワインの原料となるアントシアニンを多量に含むブドウは、主にフランスやイタリアなど南の太陽光の強い地域で栽培されるのも、紫外線による酸化ストレス緩和にアントシアニンが関与している証拠の1つだといわれている。

なるほど、体内でアントシアニンをつくれない人間は、赤ワインを飲むことによって抗酸化作用の恩恵を受けている、というわけなのか。
赤トンボの話から、ヘンな結論。