善福寺公園めぐり

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トルコ15日間の旅 その4

トルコの旅5日目の6月24日はカッパドキアからスルタンハン、コンヤをへて地中海に面するリゾート地、アンタルヤをめざす。

この日は日曜日。トルコではこの日が大統領選挙と国会議員選挙の投票日で、カッパドキア在住のガイドのギョクハンさんが地元の小学校に設けられた投票所で投票するというので、バスは学校に横づけしていったん停車。
投票所から出てくる人たち。
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日本だと選挙ポスターがあちこちに貼られるが、こちらでは各政党のシンボルマークが街中にはためいていた。
現職大統領のエルドアンと与党のシンボルマークはというと、ナント光る電球。世の中を明るくするという意味が込められているのか?
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対する野党のシンボルマークは、月3つとか、電球より強力だといいたいのか、輝く太陽もあった。
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この日、まず訪れたのはスルタンハンにあるキャラバンサライ(隊商宿)。
その昔、地中海に至るシルクロードの中継地に40㎞ごとに設けられたキャラバンサライの中でも、スルタンハイのはトルコで一番規模が大きいものであり、13世紀(セルジューク朝)につくられたものだという。
なかなか立派なファサードだ。
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入口の天井は蜂の巣みたいになっていて、イランの「ムカルナス」の影響を受けているのか?

昼ごろ、トルコ内陸アナトリア地方の主要都市の1つであるコンヤに到着。
かつてイスラム王朝であるセルジューク朝の首都だったところであり、のちにオスマン帝国の州都となる。
イスラム神秘主義の一派、メヴレヴィー教団の発祥地としても知られている。
1228年、アフガニスタンで生まれたイスラム神秘主義者、ルーミー(メヴラーナ)が、セルジューク朝のスルタン、カイクバード1世の招請によってコンヤに定住。1273年に亡くなるまでコンヤで活動し、トルコを代表する神秘主義教団であるメヴレヴィー教団を開いた。
コンヤにあるルーミーの霊廟はオスマン帝国期にはメヴレヴィー教団の道場に使われていたが、1927年にアタチュルク政権によって神秘主義教団が解散され、ルーミー廟は閉鎖された。
現在はメヴラーナ博物館として一般公開されているが、熱心な信者が今も訪れている。
緑色のタイルで覆われた円錐形の屋根を持つ霊廟。
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ドーム天井が美しい。
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展示品も数多くあったが、999個の珠を連ねているという数珠は、日本の百万遍なんかに使われている数珠に似ている。
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日本の尺八に似た縦笛。
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最初、竹でつくられた笛かと思ったら、あとで調べたら葦でつくられた笛で、ネイと呼ぶのだそうだ。ネイとはもともとペルシャ語で葦を意味する言葉で、トルコ以外でもイラン、エジプトなどのイスラム圏で似た形状の楽器が使われているという。
メヴレヴィー教団の特色は、音楽に合わせて集団で旋回するセマーという旋回の儀式を行うことであり、このときに欠かせない楽器がネイだ。
旋回する儀式は、右手は天を、左手は大地に向け、それは神から受けた恵みを人々に与えるという意味であり、クルクルと回転する。クルクルと回転することで忘我の境地に入り、神と一体となると考えられているようだ。
これがクルクル回転するセマーの儀式。
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ほかにも日本の三味線に似た三弦の楽器、太鼓などが展示されていた。弦楽器はタンブールというそうだが、これも旋回儀式のときに使われるものなのだろう。
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そういえば、ギリシャ神話によく出てくる楽器が笛と竪琴だ。
笛は葦でできていて、古代ギリシャではアウロスという。双管の縦笛で、竪琴はリラという。
古代ギリシャでは、アウロスは神々のための祭祀、戦争、演劇、スポーツの競技会、結婚式や宴会などで演奏されたという。
アンカラアナトリア文明博物館で見た大地母神キュベレは笛を吹く楽師と竪琴を弾く楽師を従えていたが、笛は葦笛であり、何かの儀式に使われたのであろう。
ひょっとしてあれは双管ではなかったのでネイだったのかもしれない。

アウロスは最古のダブルリードの楽器といわれる。リードを2つで演奏するのがダブルリードだが、そもそもリードは英語で葦の意味であり、多くの楽器のリードは葦でできている。
ダブルリードの楽器は世界のあちこちで誕生していて、トルコやイランではネイ、スペイン・ポルトガルあたりから日本に伝わったのがチャルメラ雅楽篳篥(ひちりき)も同じであり、やがてオーボエが誕生した。

今では最も吹くのが難しい木管楽器としてオーボエが知られている(ギネスブックに載っている)が、ネイも吹くのが難しくて、満足に音が出るまでに数カ月かかるという話を聞いた。

それで思い出したが、以前、コーカサス3国を旅したときのことだ。アルメニアでアンズの木でつくったダブルリードの木管楽器の演奏を聴いたが、日本の尺八に似た、とても深い音が出ていて、かすれた感じがまたよくて心を揺さぶられた記憶がある。
1500~3000年前から存在するアルメニアの民族楽器で、ドゥドゥクという名前だった。
やはりアウロスを起源とするものなのだろうか。
アウロスやネイが葦を材料としているのに対して、ドゥドゥクはアンズというのがちょっと違っているが、ダブルリードであるためか吹くのはかなり難しいといっていた。

午後7時すぎアンタルヤのホテルに到着。
今ごろの季節、日没は8時すぎなので、まだ明るい。
ホテルの夕食はビュッフェ。
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本日のワイン。
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