善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

オルチャ渓谷ツアー 北イタリアの旅⑨

フィレンツェ2日目は朝から夕方まで、フィレンツェから南に車で2時間ほど行ったところにあるオルチャ渓谷をめぐるツアー。
1日1組を専用車(メルセデス・ベンツ)で案内してくれる完全プライベートツアー。案内してくれるのはフィレンツェ在住10数年という関西出身の市川朝子さんという公認ツアーガイドで、イタリア人のご主人が運転手。
朝8時半に宿まで迎えに来てくれて、4つの小さな町、モンタルチーノ、サン・クイリコ・ドルチャ、モンティッキエッロと世界遺産の町ピエンツァを巡る。

オルチャ渓谷にはオルチャ川が流れている。オルチャ川は渓谷の東の端に位置する標高1,148mのチェトーナ山を水源とし、渓谷の南にそびえる標高1,749mのアミアータ山の源流と融合しながら東西に横切り、トスカーナでアルノ川に続き2番目に長いとされるオンブローネ川へ合流し、最終的にはテレニア海へ流れる。その川の周りがオルチャの谷。といってもわれわれ日本人が想像するような深い山に囲まれた急流を囲む谷ではなく、高いところでも標高500m前後のなだらかな丘陵地帯だ。

まず行ったのはモンタルチーノ
丘の上にできたこの町は、中世の時代、見晴らしのよさから重要な軍事拠点だったという。そびえ立つ要塞。
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要塞からのながめ。
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昔ながらの瓦屋根。
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落ち着いた街並み。道は細い。お年を召した2人連れが手をつないで歩いていた。
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アゴティーノ教会。14世紀に建てられた教会。ファサードには太陽を思わせる丸いバラ窓。
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モンタルチーノは赤ワインの生産やハチミツ生産でも有名。
養蜂農家のハチミツ直売店があるというので訪ねたが、きょうは閉まっていた。

途中見たブドウの花。
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イトスギの林。昔は狩りが盛んで、狩人たちはここに身を隠して獲物をねらったという。
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あちこちで黄色い花が咲いていた。エニシダだという。
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次に行ったのがピエンツァ。
ローマ教皇ピウス2世(1405-1464)が自分の故郷を理想の都市に変えようとつくらせた町。ピウス2世は完成を見ることなく亡くなったが、おかげで田舎の村だったところはルネッサンス様式の「理想郷」として生まれ変わった。

地元特産のペコリーノチーズ。牧草の中で熟成させたり、いろんな味のチーズがあった。
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ピエンツァの大聖堂。ここにも太陽を形づくる大きな窓。
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秋分の日と春分の日の正午になると教会の頂上がつくる影が、広場の丸印の場所とピタリと重なるという。(写真では見えない)
なぜそうしたかというと、ガイドさんの話によれば、ピウス2世の威光を示す意図でつくられたもので、ギリシャ神話に出てくるキュクロプスという一つ目の巨人の力で天と地をつなげる役割を持っているとかいっていた。
ガイドさんは「天と地をつなぐ」といってたが、キュクロプスは太陽信仰とのかかわりが深いといわれ、キュクロプスの一つ目は太陽の象徴ともいわれる。秋分春分を崇めるのも太陽信仰そのものだ。

また、もともとここには別の教会があり、入口は西の方角にあった。それを北を入口にして南が祭壇になるようにして、光が当たりやすいように変えたという。
ここにも太陽の光を求める意図がうかがわれる。

ここの見どころは1400年代中ごろの祭壇画。美術館ではなく、当時のまま教会にかけられているところに価値がある。ジョヴァンニ・ディ・パオロ(1403-1483)の「聖アントニオの祭壇画」(1463年)。
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「聖母子と四聖人」15世紀の作品という。
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窓から差し込む光。ステンドグラスに描かれているのはミツバチではないか!?
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(つづく)