チリの赤ワイン「ラス・ムラス・カベルネ・ソーヴィニヨン・レゼルヴァ(LAS MULAS CABERNET SAUVIGNON RESERVA)2019」
(写真はこのあと牛ステーキ)
トーレスが欧州の伝統と技術を用いてチリで手がけるワイン。
生産地はチリのブドウ栽培発祥の地、セントラル・ヴァレー。雨量が年間300mm未満と非常に乾燥した土地でブドウ栽培に適しているとか。
カベルネ・ソーヴィニヨン100%
濃いルビーレッドの色合い、まろやかな味。
ワインの友で観たのはNHKBSで放送していた日本映画「博士の愛した数式」。
2006年公開の作品。
監督・小泉堯史、音楽・加古隆、出演・寺尾聰、深津絵里、斎藤隆成、吉岡秀隆、浅丘ルリ子、井川比佐志ほか。
小川洋子の同名小説の映画化。
小説では、交通事故による脳の損傷で記憶が80分しか持続しなくなってしまった数学者の「博士」と、彼の家政婦である「私」、その息子で小学生の「ルート」の心の触れ合いを描いているが、映画では、「博士」に憧れて中学校の数学教師になったルートが、クラスの最初の授業で博士との思い出を語る展開になっている。
数字や数式がやたらと出てくる。
たとえば、家政婦が初めて博士と会った日、靴のサイズを聞かれて「24です」と答えると、「ほお、実にいさぎよい数字だ。4の階乗だ」と博士はうれしそうにつぶやく。
階乗とは1からnまでの連続する自然数の積のこと。1、2、3、4までを全部掛け合わせると24になる。
次に博士は「電話番号は何番かね」と聞く。
「576の1455です」と答えると、「すばらしいじゃないか。1億までの間に存在する素数の個数に等しいとは」と、またしても喜々として語る博士。
調べてみたら、たしかに1億までの素数の個数は5761455で、2億までなら11078937だ。
ほかにも、家政婦の誕生日が2月20日と知ると、博士は「220、実にチャーミングな数字だ」とまた喜々として、自分が大学時代に書いた論文で学長賞受賞のときにもらった腕時計を取り出す。
そこには284の番号が刻まれていて、博士は黒板に白墨で数式を書いていく。
それは220と284のそれぞれの約数(ある整数に対してそれを割り切れる整数のこと)で、220の約数は1、2、4、5、10、11、20、22、44、55、110。284の約数は1、2、4、71、142。博士はそれぞれの数字の間に+を書き加えていく。
「見てご覧、このすばらしいひと続きの数字の連なりを。220の約数の和は284。そして、284の約数の和は220。友愛数だ。フェルマーだってデカルトだって、1組ずつしか見つけられなかった、めったにない組み合わせだよ。君の誕生日と僕の手首に刻まれた数字がこれほど見事なチェーンでつながり合っているなんて、美しいは思わないかい?」
数字・数式の話はほかにも、元阪神の江夏の背番号28とか、いろいろ登場しているが、映画では博士は数式を書くときは必ず黒板に書いていた。そういえば、だいぶ前に読んだ数学者インタビューの本でも、数学者はみんな黒板を愛用していた。
以前、応用数学を使って生物の発生について研究している先生の話をうかがったことがあるが、やはり何か計算したりするときは黒板じゃないとだめだ、とおっしゃっていて、黒板に書くと発想が広がっていくというのがその理由だった。
大きな黒板に自由に数字を書いたり消したりしていくその過程こそが、大事なのかもしれない。
いずれにしろ、数学に関するウンチクが吉岡秀隆のやさしいシャベリで紹介されていて、数学(数学者も)が好きになる映画。
ついでにその前に観た映画。
民放テレビで放送していた「ハクソー・リッジ」。
2016年の作品。
監督メル・ギブソン、出演アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマーほか。
第2次世界大戦の沖縄戦で衛生兵として従軍したデズモンド・ドスの実体験を描いた戦争映画。
デズモンドはセブンスデー・アドベンチスト教会の敬虔な信徒であり、「皆は殺すが、僕は助けたい」と武器の所持を拒否。それでも「ハクソー・リッジ」での戦いではたった1人で戦場に倒れた75人の兵士を奇跡的に救出し、「良心的兵役拒否」として初めて名誉勲章が与えられた人物という。
「ハクソー・リッジ」とは、沖縄戦で日本軍とアメリカを中心とする連合軍との激戦地となった、かつて浦添城があったあたりにある「前田高地」と呼ばれた日本軍陣地のこと。北側が断崖絶壁になっていて、アメリカ軍が攻めていくにはここを登っていかなくてはならず、「弓ノコ状に隆起した細長い尾根」という意味で「HACKSAW RIDGE(ハクソー・リッジ)」と呼んだ。
沖縄戦で、アメリカ軍は「鉄の暴風」といわれるほどの艦砲射撃を雨あられと行い、その上で沖縄本島中部の北谷、読谷に上陸。主力部隊は当時の日本軍の指令本部があった首里城をめざしたが、そのルート上にあったのが浦添市の前田高地だった。
映画での、武器を持たないデズモンド・ドスの献身的な人命救助の物語はよくわかったが、それにしても次々と人が殺されるシーンが続く。
実際、沖縄戦では地上戦で約20万人が命を落とした。しかし、その半数以上の12万人超は沖縄県民であり、県民の4人に1人が犠牲となった。このため沖縄県民は全員が遺族であり、沖縄戦の最大の犠牲者はデズモンド同様に武器を持たない一般住民の沖縄県民だった。
メル・ギブソンにはそこのところも描いてほしかった。
民放のテレビで放送していたアメリカ映画「NEXT‐ネクスト」。
2007年の作品。
監督リー・タマホリ、出演ニコラス・ケイジ(製作も)、ジュリアン・ムーア、ジェシカ・ビールほか。
2分先の未来が見えるという超能力の持ち主(ニコラス・ケイジ)が、核爆発を画策するテロ集団とたたかう物語。