日比谷シャンテでフランス映画「男と女 人生最良の日々」を観る。
クロード・ルルーシュ監督の1966年製作の映画「男と女」の続編。
客席を見回すと、50年前に「男と女」を観て心ときめかせた人たちばかりのような感じだった(もちろん若い人もいたが)。
元レーシングドライバーのジャン=ルイは、現在は老人ホームで暮らし、かつての記憶を失いかけている。ジャン=ルイの息子はそんな父のため、父がずっと追い求めている女性アンヌを捜し出し、会いに行く。その思いを知ったアンヌはジャン=ルイのもとを訪ね、別々の道を歩んできた2人はついに再会を果たす、という物語。
前作の主演アヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンが同じ役柄を演じ、そのまま歳をとって53年後の2人の物語を、過去の映像を散りばめつつ描いている。
しかも何と当時5歳ぐらいだった2人の息子と娘も当時子役を演じた2人(アントワーヌ・シレとスアド・アミドゥ)がそのまま(当然53年の歳をとって)出演している。
前作の「男と女」のとき、ルルーシュ監督は29歳。アヌーク・エーメは34歳。ジャン=ルイ・トランティニャンは36歳だった。それが53年たって、アヌーク・エーメは87歳、ジャン=ルイ・トランティニャンは89歳。
アヌーク・エーメが昔も今も美しい。
映画の中で、映画評論を書きたいというアントワーヌがヴィットリオ・デ・シーカ監督の「自転車泥棒」について、あれこそヌーヴェルバーグの元祖だみたいな言い方で熱っぽく語っていたが、監督自身あの映画に今もリスペクトしているのだろう。
ときおり挟まれる前作の映像を見ると前作を観た昔の記憶がよみがえってくる。
ベッドシーンでのドッキン、ドッキンという心臓の音の記憶が今も鮮明だ