善福寺公園めぐり

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長唄女子東音会 第144回定期演奏会

23日(土)国立劇場小劇場で長唄女子東音会の「第144回定期演奏会」を聴く。
第1部、第2部に分かれていて、聴いたのは第2部のほう。

当然ながら唄方も三味線方も全員女性。プログラムを数えてみたら全部で90人いた。結構な数だ。
みなさんプロの演奏家である(お師匠さんとして教えている人も多いだろうが)。
客席もそれなりに埋まっていた。お弟子さんたちだろうか。
昔ほどではないにしても今も根強い長唄の人気があるのだろう。

東音会は東京芸大の卒業生による演奏家の団体。総帥は人間国宝で昨年芸術院会員に選ばれた宮田哲男氏だ。

もともと長唄は歌舞伎の伴奏音楽として発展してきた。しかし、歌舞伎座の舞台に立つのは男性のみで、しかも数は少ない(御簾の中は女性もいるかもしれないが)。
それにピアノやヴァイオリンなどの洋楽ならプロ演奏家としての道もかなり開かれているだろうが、長唄となると手習いのお師匠さんの道はあっても演奏家としての活躍の場はあまり期待できない。
そこで、若手演奏家たちに演奏のチャンスを与えようとできたのが東音会という。男子部、女子部があり、特に女子部は活発のようだ。

きのう印象に残ったのは「臥猫(ふせねこ)」。

鳥羽屋三右衛門という江戸時代中期に活躍した三味線の名人が作った曲という。
のどかな春の日に、オスとメスの2匹の猫がじゃれ合う様子が描かれていて、何とはなしに恋模様が浮かび上がってくる、そんな話だ。

歌詞がおもしろい。

春のねこの ねこのこの ねこのねこの ねこのこねこが 日陰にねむりて飛ぶ蝶 ふと目にかけて 飛び上がりては ひらり ひらり ひらりひらりと戯れあそぶ

てな感じ。

前回の第143回公演のときに「二人椀久」で三味線を弾いていた伊勢弥生さんの超絶技巧(「鉄人」と呼ばれているとか)に感心し、きのうも聴きたかったが、第1部の出演だったようで、残念。