善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

エチオピア旅行記③ ダナキル砂漠と北エチオピア世界遺産周遊

ダナキル砂漠内にあるのがエルタ・アレ火山。
え?砂漠に火山?と思わず耳を疑いたくなるが、大地を引き裂いてできたアフリカ大地溝帯ならではの自然の姿がそこにある。
標高は613m。エルタ・アレとはこの地に住む遊牧民アファール族の言葉で「煙の山」という意味だそうだ。
山頂直下にある火口は世界的にも数が少ない恒常的な溶岩湖となっていて、マグマが燃え盛っている。活動中の溶岩湖としてはもっとも古く、地表にある火山の中ではもっとも低いとされる。だからこそ4時間のトレッキングで火口のそばまで近づけるのだろう。

トレッキングの出発点となるベースキャンプは標高150m。山頂までの標高差460mを歩いて登っていく。
最初は平坦な砂地が続き、やがてゆるやかな上りになっていく。
次第にあたりは漆黒の闇となり、ヘッドランプだけが頼り。ところが、歩いていて大変なことに気がついた。
山道といってもふつうの山道とは違い、溶岩が固まった大地であるため固い岩がゴロゴロしているところを歩くのだ。
当方が持って行ったヘッドランプや懐中電灯は20年前の登山で使ったものでチョー古い。今のLEDとは比べ物にならないぐらい照度が低くて、地面がよく見えない。おかげで岩にけつまずいて転ぶこと数回。難行苦行のトレッキングとなった。
最後の方は銃を担いだポリスに腕を支えられて何とか山頂にたどり着く。

ほかにも、途中で足をくじいた人、足がつってしまった人がいて動けなくなってしまったが、そこはちゃんと想定していたのか、一行のうしろからは空荷のラクダがついてきていて、動けなくなった人はラクダに乗って何とか全員が山頂に到着した。
うーむ、ラクダに乗るのもよかったかなー。

ちなみに、歩きたくない人は最初からラクダに乗る方法もあるらしく、料金はたしか日本円で7000円ぐらいだった。ただし、今回のツアーでその案内はなかったから闇料金かもしれないが・・・。

山頂に着くと、目と鼻の先に赤々と燃える火口が見える。
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急な斜面を注意深く降りていき、数十m先の火口に到着。そこには驚きの光景が広がっていた。

闇夜に浮かび上がる真っ赤な溶岩湖がそこにあった。
柵などはなく、火口のすぐ近くまで近づくことができる。肌に熱風を感じながら、マグマがうごめくさまを眼下にのぞむ。
まるで波しぶきを上げる灼熱の海のようだった。ジャバーンという波の音が聞こえるようだ。マグマが下からの力で盛り上がり、ブワーッと破裂すると、真っ赤なしぶきが夜空に飛び散っていく。こんな世界があるのか? 絶景とはこのことか?

ドロドロと波のように流れるマグマは真っ赤というより黄色、いやそれよりも白く輝いて見える。それだけ高温だという証拠だろう。1000℃から1300℃はあるだろうか、それ以上か?

物体が高温になるとその熱エネルギーを光として放出する。温度によって色が変わって見えるのは放出される光の波長ごとの強度が変化するためで、温度が上がるにしたがって光の量は増加し、色も限りなく白に近づいていき、とてもまぶしく感じるのだ。

その光景がまさに眼下にある。
生きている地球を目の当たりにできた。
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溶岩湖に見とれて、山頂にある宿営地に戻ったのは夜中の12時すぎ。狭くてテントを張れないため、野天で眠る。
といっても溶岩を積んだ囲いがあり、天井はトタンで覆われているため雨露はしのげる。
ラクダで運んだ簡易ベッドとマット、それに寝袋で仮眠をとる。
風がビュービューと強く、トタンがバタバタと音を立てて、今にも落ちてきそうだった。
気温はそれほど低くはならず、寝袋にもぐり込むほどではなかった。

翌朝は午前5時すぎに起床。風はやんでいる。
ペットボトルの水で顔を洗う。暗闇の中、もう一度火口に向かう。

山頂に戻ってふたたび火口をながめる。まもなくお別れと思うと寂しくなる。
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7時前、ようやく夜明け。立ったまま軽い朝食をとり、下山。
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振り返ると、炎と煙をふき上げる火口の上に朝日が昇ろうとしていた。
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再び4時間かけて歩き、ベースキャンプに戻って昼食。
午後は4WDで砂漠をドライブ。アハメッド・エラのベースキャンプに到着したのは日の落ちた午後7時すぎ。
この日はテントを張って宿泊。
アハメッド・エラがあるダロール地区は標高マイナス116m。冬でも日中の気温は40度を超すという世界で一番暑いところの一つだ。