善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

村上隆の五百羅漢図展

東京・六本木の森美術館で開かれている「村上隆の五百羅漢図展」(来年3月6日まで)を見る。

日本国内では14年ぶりとなる村上の大規模個展で、全作品が日本初公開という。
目玉は、絵画史上最大級という高さ3メートル、全長100メートルに及ぶ「五百羅漢図」。東日本大震災にいち早く支援の手を差し延べてくれたカタールへの感謝を込めて、震災の翌年2012年に首都ドーハで発表されたもの。

村上隆はもともと漫画家とかアニメーターになりたかったという。しかし、本人の弁によればそれがかなわずに東京芸大に入学し、日本画初の博士号まで取得している。その後も漫画への思い入れを捨てることなく、現代美術と日本の伝統絵画、ポップカルチャーまでを交差させた独自の世界をつくり出した。

「五百羅漢図」は江戸時代後期の絵師、狩野一信の「五百羅漢図」に触発されたという。
羅漢は釈迦の弟子として悟りを開き、人々を救済する存在として長く信仰されている。
一信は、さまざまな過去の作例を踏襲しながら、2幅に10人ずつ、合計500人もの羅漢を描く100幅もの大作に挑戦。完成まであとわずかというところで没してしまうが、残りの4幅は残された妻や弟子らが補筆して完成。文久3年(1863)、増上寺に奉納されたという。

村上の展覧会場にも一信の2幅の「五百羅漢図」が展示されていたが、そのうちの第50幅、月光の下で羅漢たちが瞑想していて、深遠な世界が見事に表現されていた。なかなかの作品。

村上が「五百羅漢図」を描くにあたっては、とても1人じゃできないというので、全国の美術大学に呼びかけて200人以上の美大生やスタッフが参加。シフト制を敷いて24時間体制で制作されたという。

展覧会場には制作過程の資料や映像も公開されていた。
どういう技法で作られたか、というのも興味深い。
3000枚のシルクスクリーンを使い、その上に手書きで色を加えたという。下絵や版を作る過程ではコンピュータ・グラフィックスも活躍していたようだ。

25mずつ4つのパートに分かれていて「青龍」「白虎」「朱雀」「玄武」の名前がつけられている。
それぞれまったく違う背景の上に描かれていて、青龍は海、白虎は炎、朱雀は宇宙、玄武は雲の世界を表現しているとか。

展覧会の入口。撮影オーケーというのでパチパチ撮る。
イメージ 1

白虎。紅蓮の炎の中に佇む羅漢たち。とにかく巨大な巻物のように長い。
イメージ 2

夢を食べるというバクを描いたものだろうか。
イメージ 3

ネコかと思ったら白虎だった。
イメージ 4

炎がすさまじい感じ。
イメージ 6

青竜では巨大な竜がのたうち回っている。曽我蕭白からインスピレーションを得たのだろう。
イメージ 5

途中の部屋には制作過程の資料が展示されていて、中には村上隆が書いたと思われるメモが・・・。
イメージ 7

雲をバックに描かれた玄武。
イメージ 8

ヌッペホフみたいな怪物?
イメージ 9

とにかくどれもデカイ。
イメージ 10

宇宙の中にいる羅漢たち。
イメージ 11

羅漢図とは違うが、鎌倉時代に描かれた「阿弥陀二十五菩薩来迎図」を踏襲したという作品(しかも制作途中)。色っぽさといい、長いつけマツゲといい、どうみても淡谷のり子だ。
イメージ 12

帰りに六本木ヒルズ向かいのそば屋「くろさわ」で遅い昼食。相変わらず男衆のきびきびした対応がいい。
生ビールと豚のすき焼き。
イメージ 13

ざるそば。
イメージ 14

田舎そば。
イメージ 15

そういえば新そばの季節だった。


96