善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

京都国立博物館「国宝」展

有馬温泉に泊まったあと、京都で「国宝」展を見ようとバスで行く。
有馬温泉発京都行きのJR高速バスで京都へ。1時間10分ほどで京都駅前着。
そこから206番のバスで京都国立博物館(京博)まで10分ほど。
10月3日から11月26日まで開催中の「国宝」展を見る。
イメージ 1

今年は京博が開館して120年。また日本の法令上「国宝」という言葉が使われてから120年。というので開催されたのがこの展覧会。
(ちなみに日本最古の博物館は東京国立博物館東博)で開館は145年前)
ナント、というか当然のことながら、今回見た約100点の出品作品はすべて国宝。
(ちなみにⅠ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期と展示替えが期間中あり、見に行ったのは10月17日から29日までのⅡ期)

入口に長い列ができていて、京都人は国宝好きが多いらしい。
老いも若きも、みんな京都弁をしゃべっている。当たり前。

どの作品にも目を見張る。どれもスバラシイ!
おかげで全部見るのに3時間近くかかった。
その中でも一番よかったのが長谷川等伯セガレ、長谷川久蔵の「桜図壁貼付」。父親の等伯が描いた「楓図」と対になる作品という。
木の幹がリアルで、桜や草木が生命感にあふれている。このとき久蔵24歳というから驚く。
ところが、彼は26歳で亡くなってしまう。
将来、自分を超えるかもしれない息子の死に打ちひしがれた等伯が、絶望の果てに描いたのが「松林図屏風」だという。

作者の名前は不明だが、六曲一隻の屏風絵「風俗図屏風」(彦根城博物館蔵で「彦根屏風」とも呼ばれる)もスバラシイ。
江戸時代の遊里での男女の姿を描いているが、鍛練されたタッチで、完成度が高く、実に見事だ。不思議に思ったのが作者がわからないという点。これほどの作品なのに作者の名は埋もれたままなのだろうか。

意外だったのが日本絵画の最高傑作の1つ、雪舟の「秋冬山水図」。意外と小さくて、そのことに驚いた。
長谷川久蔵や等伯などのドデカイ絵を見た直後だけにそう思ったのかもしれないが。
それでも雪舟ならではの力強い筆線、確固たる構図は見事であった。

いままで見たことのないタイプの仏画がいくつかあった。
そのひとつが「阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)」(京都・知恩院蔵)。
高くそびえる山を超えて観音菩薩を先頭に阿弥陀如来と諸仏が念仏行者のいる館に来迎するさまが描かれているが、左上から右下へ、早く行こうとホントに動いているようだ。
こんな躍動感、速度感のある仏画をはじめてみた。

最澄空海の筆の対比もおもしろかった。

日本に3つしかないという国宝の曜変天目茶碗。ほかの2つは見たことがあるが、今回見たのが3つめ。それもそのはず、京都・大徳寺龍光院蔵で、通常非公開であり、鑑賞できる機会は稀だという。
ほかの2つとはまるで違う感じで、内面全体に油滴風の小斑文があり、それらがさまざまの色合いとなり淡く美しい輝きをみせている。

俵屋宗達筆の「風神雷神図屏風」。
いつだったか尾形光琳筆の「風神雷神図屏風」を東博で見たが、あれは宗達のを忠実に模写した作品だという。宗達のはさすがに緊迫感、力強さが勝り、光琳の方がユーモア度が勝っている感じがした。わずかにだが。

平安時代の11世紀に描かれた「釈迦金棺出現図」に白いゾウが出てくるが、そのゾウが江戸時代の絵師、伊藤若冲が描くところのゾウとそっくりだった。
そりゃそうだ。日本人は本物のゾウなんて見たことがなかったから、インド伝来の仏画にあるゾウを真似するしかなかったのだろう。

ほかにもいろいろあったが、夕方、京都駅構内にある伊勢丹の地下食品売り場で京のおばんざい、寿司などツマミを調達し、新幹線ホームで生ビール(1杯520円)をゲットし、車中でイッパイやりながら帰還したのであった。