善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ベトナム・ホーチミン散歩1 フーティウとの遭遇

ついにベトナムへ行ってきた。
ここ何十年かの間にけっこういろんな国に旅行に行ったが、ベトナムは初めてだった。

というよりベトナムは憧れの国だった。
若かりしころ(今も若いが)ベトナム戦争が真っ最中で、外国(アメリカ)の軍隊が他国(ベトナム)に押しかけて好き勝手なことをするなんて許せないと、デモにも行って、「アメリカはベトナムから出ていけ」と叫んだものだ。

そして、小さな体のベトナム人が、デカイ体のアメリカをやっつけた。北爆に耐え、大量虐殺や枯れ葉剤作戦など理不尽で許せない侵略行為に耐え、ついに1975年4月30日のサイゴン(現ホーチミン)陥落。翌日はメーデーで、わがことのように狂喜乱舞したのを覚えている。

世界最強の大国アメリカを破ったベトナムってどんな国だろう。いつか行きたいと思ったが、それが、どうせ近いんだからいつか行けるだろうと、結局なかなか行かず、今日に至った次第。

今回は、とりあえずホーチミン1都市だけの4泊5日の旅。HIS主催の格安ツアーがあって、サーチャージとか空港使用料込みで1人約5万5000円ほど。往復の飛行機は香港経由のキャセイパシフィック航空。行きと帰りの空港-ホテルは現地係員が送迎してくれ、あとは好き勝手にどうぞという旅。

20日朝10時40分成田発の飛行機(A330)に乗って、ホーチミン着は18時すぎ。
ホテルは都心からはちょっと離れたTGIEN THAO HOTEL(ティエンタオホテル)。
9階建てのこじんまりとしたホテルで、われわれ(ツレアイとの2人旅)は最上階の9階の部屋(といってもこちらではフロントがある1階はG階なので、8階になるが)。ただし、エレベーターは7階までしかないので、そこからは荷物を抱えて階段をエッチラとのぼらなければならない。このへんは格安ホテルならでは。

しかし、部屋は広さもまあまあで、中は清潔で、アメニティも歯ブラシからクシ、石鹸、シャンプー・リンスと揃っていて、バスタブもあってお湯もしっかりと出て、なかなか快適だった。サービスも家族的で親切で、毎日出る朝食もそれなりに日替わりでの工夫があっておかげでたっぷり食べた。

通りの向かいにレストランか劇場みたいなのがあって夜になるとジャンジャカ音楽を鳴らしていたが、それも9時になるとピタリと止む。われわれはそのころまでは晩メシを食べに出かけているので、帰るころにはいたって静かだった。

さて、到着した晩はどこで夕食にしようか。
7時ごろホテルを出て、そぞろ歩く。

びっくりしたのはバイクの多さ。あとで聞いたらホーチミン市内を走るバイクは400万台以上もあるとかで、これが人々の足になっている。
若い男女もデートはバイクの2人乗り。
店の前を通ると路上にバイクがいっぱい並んでいて、バイク屋かなと思ったらレストラン。みんなバイクで乗り付けるから、どの店の前もバイクであふれ返っている。
露店も多い。歩道にイスを並べて、人とバイクがあふれ返っているから、その間をぬって歩かないといけない。

1年中暑いホーチミンでは、庶民の家にはエアコンなんてない。自然の風になれているから、家の中でより外で食べた方がおいしいのだろう。

われわれが入った店も、屋根はあったものの外に開放された感じで、地元の人がいっぱい入っていたので「きっとこういう店はおいしいはず」と、みんなが食べているのを指さして、「これください」。
出てきたのが写真の料理。
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日本人が知っているフォー(米粉で作った麺)のようだがフォーでもなさそう。緑色の麺で汁けがないのと、汁ありの白い麺の料理があり、写真は汁けのないほう。
いろんな具が乗っていて、一緒についてきたスープとともに食べる。野菜の葉っぱも山盛りで運ばれてきて、これも一緒に入れて混ぜて食べるらしい。

ビールは「BBB(バーバーバー)」というベトナムのビール。たっぷりの氷に入れて持ってくるものだから、氷が解けてだんだん薄い味になっていく。
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ところでこの店の麺、どこか変わっている。
店の看板を見ると、「NHON QUEN」という文字と「HU TIEU」という文字が目につく。
ホントは文字の上にアクセント(と思う)の表記があってその通りじゃないんだが、ベトナムの言語はローマ字表記になっているので、タイとかカンボジアなんかの文字と比べるととても読みやすく、何となく発音できる感じになるので、助かる。

で、この「NHON QUEN」と「HU TIEU」、帰って調べると、「NHON QUEN」というのは店の名前で、「HU TIEU」とは料理の名前だった。

われわれ日本人が知っているフォーはベトナム北部のハノイを中心に食べられる麺料理であり、南部の人々がよく食べるのが「HU TIEU(フー・ティウ)」だという。
フォーは水に浸けた米を粉にし、薄く引き伸ばして蒸し、これを裁断して麺にする。
「HU TIEU」も同じような工程で作るが、こちらは生地を蒸したあとに天日干しにし、半乾きの状態にしてから麺状に裁断するのだという。
このためコシのある弾力が生まれるという。
たしかに緑色の麺はコシがあってしなやかな弾力を感じた。

麺にスープが入っている「汁入りHU TIEU」と、別についてくるタレにつけて食べる「汁なしHU TIEU」の2種類がある。
どちらも豚肉や海老なんかが入っていて、別添えの野菜も生のままのニラ、春菊、セロリ、レタスなどと豊富で、いかにも緑黄色野菜がたくさんとれる南国らしい。ただ、びっくりしたのは生のモヤシまでたっぷりあることで、こちらはちょっと食べにくかった。

かくて第1日目は終わる。