善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

プラハ1968 世界報道写真展2011

日曜日の善福寺公園は曇り。善福寺池をめぐる道すがら、そこここにアジサイが咲いている。
イメージ 1

見慣れぬ白い花が咲いている。葉っぱの上に傘をさすように咲いている。ヤマボウシだという。
イメージ 2

漢字で書けば「山法師」。その由来は、中央の丸い花穂を坊主頭に、4枚の白い花びらを白い頭巾に見立て、 比叡山延暦寺の「山法師」になぞらえたんだとか。ハナミズキと同じミズキ科の植物。ハナミズキアメリカ原産だが、こちらは日本原産。秋には実がイチゴのように赤く熟して、甘い味がするという。
公園を出て散歩の途中、かわったアジサイを発見。
イメージ 3

その足で恵比寿の東京都写真美術館へ。2つの展覧会をハシゴ。
イメージ 4

1つは伝説の写真家、ジョセフ・クーデルカの「プラハ1968」。
1968年8月に起こったワルシャワ条約機構軍のチェコ侵攻でプラハにやってきた侵攻軍と対峙する市民の姿をとらえた写真の数々。

当時、ドプチェクをはじめとするチェコスロバキアの指導者は、スターリン主義からの脱却をめざし「プラハの春」と呼ばれる改革路線を選択した。画一的な社会主義ではなく、その国独自の社会主義を築くべきだという主張のもと、「人間の顔をした共産主義」をスローガンに社会主義の再生を図ったのだ。
それを封じようとした当時のソ連をはじめとするワルシャワ条約機構軍のチェコ侵攻は明らかに侵略行為であった。しかし、同じ社会主義国家として、ドプチェクらは侵攻を批判しつつも軍事的に抵抗することを止め、市民にも「冷静に」と訴えるのみであった。

しかし、自国を侵略されて、男も女も、若者も年寄りも、市民の怒りは沸点に達している。その怒りが、1枚1枚の写真にあふれている。
歴史の表現者である写真のすばらしさを感じさせる展覧会だった。

もう1つは「世界報道写真展2011」。前年に世界中で撮影された報道写真を対象にした世界報道写真コンテストが毎年、オランダのアムステルダムで開催され、今年は125の国と地域、5691人の写真家が10万8059点の作品をコンテストに応募。その中から選ばれた優秀作品の展覧会。

今年の大賞に選ばれたのは、南アフリカの女性写真家がアフガニスタン人の女性を撮影したポートレート。夫による暴力から逃れて実家にいたところを反政府武装勢力タリバーンによって逃亡の罪で刑を宣告され、夫によって鼻と耳を切り落とされる「罰」を受けた。彼女はのちに救われ、今は米国で暮らしているが、鼻を削ぎ落とされながらも尊厳に満ちた表情が印象に残る。

今年は昨年に比しても悲惨な写真が多い気がする。それも時代を写しているからか。「自然」のコーナーに来てハクチョウの写真に出会ってやっとホッとした。

今年3月に起きた東日本大震災の被災地を撮影した写真もスライドショーで上演されていた。

帰りはかつてのサッポービール工場の名残をとどめるビアホールでイッパイ。