善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

長谷川潔展+横浜 一如

5月5日のこどもの日は曇り。すごしやすい。
善福寺公園の上池にショウブ咲く。
あ、きょうはショウブ湯だ。
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みどりの日の4日は横浜のみなとみらいにある横浜美術館で「長谷川潔展」を観る。
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長谷川潔は版画家で今年生誕120年。1918年(大正7年)にフランスへ渡り、メゾチント(仏語でマニエール・ノワール)と呼ばれる埋もれた古い版画技法を復活させ、独自の様式として確立させた人。フランスでは著名な人で、数々の勲章をもらったりしている。しかし、なぜか一度も帰国せずにパリで没す。

マニエール・ノワールとは「黒の技法」とかいう意味で、「深い黒の中から自ら光を発するかのようにモチーフを浮かび上がらせ、可視の世界を通して不可視の世界を見、言葉では表現しきれない宇宙の真理を表現しようとした」と評される。

「メゾチント」と聞いて、思い出した人がいた。たしか、武蔵野市立吉祥寺美術館の常設展にメゾチントの作者がいた。
浜口陽三という人で、ほぼ長谷川と同時代の人。長谷川が一貫して黒の世界にこだわった(一部カラーもあるが、実験的なものだっただろう)のに対して、色版を重ねて刷るカラーメゾチント技法を開拓して成功したのが浜口だ。彼が本格的にカラーメゾチントの制作を始めたのは戦後の1950年前後、40歳をすぎてから。長谷川の影響を受けたのは間違いないだろう。浜口は何度も日本とフランスやアメリカを往復し、晩年は帰国し、日本で亡くなっている。
それにしても、もともとヨーロッパの技法だったマニエール・ノワールを2人の日本人が復活させ発展させたのは興味深い。

長谷川潔展でもっとも印象に残ったのは、展覧会場の最後に飾られていた「横顔」という作品。今回の展覧会を観る限り、静物や植物を題材にした作品がほとんどのマニエール・ノワールの中で、唯一、若い女性が描かれていて、ぴったりした服に胸の膨らみが何とも艶かしい。筆で描いたのとはまた違った独特のタッチに魅入られた。

会場でもらった作品リストを見ると「横顔」は1970年(昭和45年)の作とある。亡くなったのは1980年だが、出品作品の最後の作が1970年の「横顔」だった。なぜ彼は禁欲的なまでも静謐な世界に没入してきたのに、あんな艶かしい作品を最後に残したのか、ナゾだ。もちろん「横顔」という作品も静謐ではあるが、艶かしさのほうが勝る。
この作品を観ることができただけでも価値のある展覧会だった。

横浜美術館を出たあとは横浜駅近くまで散歩し、友人夫婦と会食。実は本日のお目当ては本当はこちら。

「和ダイニング・一如」という店。みなとみらいから横浜駅までのちょうど途中にある。6時開店で、開店と同時にもう満席という感じ。予約しておいてよかった。
お酒をいろいろ、つまみもいろいろ食べて、味はよく、量もほどほどで、値段も比較的リーズナブル。サービスもいい。

食べたのは、刺身盛り合わせ、そら豆を皮ごと焼いたやつ、焼きタマネギ、ハマグリ、モツ煮込み、豚肉の味噌漬け焼き、出汁巻き卵、コロッケ、いろいろサラダ、ごはん系でアナゴのひつまぶしにつぶ貝のまぜごはん、デザート2品。酒はお銚子8~9本ぐらいで、お会計は1人5,000円弱。安い!
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また行ってもいいお店。

和ダイニング 一如
神奈川県横浜市西区岡野1-10-12
045-311-7422
18時~翌3時
月曜日休み