善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

アンストッパブル

日曜日の善福寺公園は晴れ。さすがに連日の寒さ。池は凍っている。
石を投げると、氷の上をはねていく音がヒョンヒョンヒョンと鳴る。初めて聞く音。まるで鳥のさえずりのようだ。
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きょうはその足で大泉学園にあるT・ジョイ大泉に7日封切ったばかりの「アンストッパブル」を観に行く。金曜日の朝日夕刊の映画評があまりにもべたぼめだったため、つい行く気になる。

評判の映画で、封切ったばかりというと混雑が予想されるが、意外というか、最近はどの映画もそうなのか、かなり空いていた。(ちなみにT・ジョイ大泉も以前は並んで切符を購入していたが、いつの間にかオンライン予約が可能になっていて、並んでいる人は少ない。ああ、ここも予約の時代。便利ではあるが)

で、本題の映画の話。出演はデンゼル・ワシントンクリス・パイン、監督はトニー・スコット
実際に起こった列車暴走事故をもとにした話だそうで、危険な薬物を大量に積載したまま無人で暴走し始めた貨物列車を、2人の鉄道マンが止めようと奮闘するサスペンス・アクション。

発端は小さな整備ミス。やがて、制御不能となった最新式貨物列車777号が暴走を始める。777号には大量の化学薬品とディーゼル燃料が満載されているというので、暴走を止めるべく鉄道会社と警察は手を尽くすが、列車はどんど加速。事態を察知したベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)は、この日初めてコンビを組んだ新米のウィル(クリス・パイン)とともに、決死の覚悟で暴走列車に立ち向かう。

暴走列車を止めるという話はこれまでも何度も見てきて、見飽きたはずだが、なかなか巧みな映像の力で、「そんなバカな」と思うところもすっ飛ばして、ぐいぐい映画の世界に引き込まれていく。
題材は陳腐(登場人物の人間模様からして陳腐)でも、作り方次第ではいくらでも上質な作品になっていくものなのだろう。

批判精神もちゃんと織り込まれている。鉄道会社のトップは事故の最中も気楽にゴルフに興じていて、心配するのは「株価が下がらないか?」だったり、運行の責任者も何とか会社の不利益にならないようおさめようとしたり、利益優先・安全軽視の会社の姿勢があぶり出されて、日本もアメリカも同じだなと思わせる。

小さな失敗が、いかにして取り返しのつかない大失敗につながるかの教訓も提示されている。
そして、大惨事をギリギリのところで食い止めるのは、結局は人間の力だ、ということを教えてくれる。

今でこそインターネットとか携帯電話回線とかのネットワークによって私たちは結ばれているが、かつて情報ネットワークで重要な役割を果たしていたのは、鉄道であり、そこで働く人々であった。
ネットワークの原点は人間である、とあらためて思わせる映画だった。