善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

有馬記念 2010

今年もいよいよ大詰め。最後に一花咲かそうと思えば、年末ジャンボ宝くじか、はたまた競馬の有馬記念か、と考えるところが庶民の切なさか。

宝くじはそれこそ神頼みだが、競馬は勝ち馬を自分で予想するから多少は知的ゲームである、といった人がいた。それに宝くじは最低300円の元手がいるが、競馬は100円で買える。といっても100円で済むはずもない。

有馬記念で一発逆転をねらおうと思うのは、それなりにワケがある。この10年を振り返っても、結構、波瀾の決着があるからだ。やっぱり1年はただでは終わらない。

忘れられないのは01年。この年の9月11日、アメリカで同時多発テロ。1着は3番人気のマンハッタンカフェ、2着に13番人気のアメリカンボス馬連4万8650円。「マンハッタン」と「アメリカン」で決着した。

翌02年もやはり13番人気のタップダンスシチーが2着に粘り込み、2人気シンボリクリスエスとの馬単2万680円。(中山は先行馬が強い!)

05年は追い込み馬の4番人気ハーツクライ(騎手はペリエ)がまさかの先行策。断然人気ディープインパクトを退けた。

07年天皇賞15着で9番人気のマツリダゴッホが快勝し、1番人気メイショウサムソン8着で、3連単80万880円の大波乱。

08年1番人気ダイワスカーレットが勝ったが2、3着が14番人気アドマイヤモナーク、10番人気エアシェイディで、3連単98万5580円は有馬史上最高配当。

去年の09年も、断然1番人気ブエナビスタを2番人気ドリームジャーニーが差し切って勝利。
このところ年末は海外に旅行することが多かったから、去年、一昨年と見ていないのが残念だったが、今年は楽しみだ。

それでこれまでの有馬の傾向を探ると、不思議と2年続けて連にからむ(1か2着にくる)馬が多い。オグリキャップ(このときは1年おいて88、90年)がそうだし、グラスワンダー(98、99年)、シンボリクリスエス(02、03年)、ディープインパクト(05、06年)、ダイワスカーレット(07、08年)と、いずれもG1馬ばかりだが、その意味では去年の1、2着馬ドリームジャーニーブエナビスタいずれにもチャンスがある。

2年連続が多いということはコース適性も大きい。中山競馬場に向いている馬と不向きな馬がいるのである。
ちなみに中山2500mに特徴的なコース形態とは、まず右回りであること、小回りコースでカーブが6つもあること、したがって器用さが求められ、内枠、先行有利といわれる。府中の天皇賞で15着だったマツリダゴッホも、中山を得意としていた。

「冬に走る馬」というのも重要な要素だ。馬も生き物。夏になると元気になる馬と、夏場はグッタリして冬こそおれの季節と走る馬とがいる。
それでみてみると、その年の1月に好走している馬が1、2、3着に来ていることが多い。ここ数年をみても、04年の3着シルクフェイマス日経新春杯1着、05年の2着ディープインパクト若駒S1着、07年1着マツリダゴッホAJCC1着、2着ダイワスカーレットシンザン記念2着、08年2着アドマイヤモナーク日経新春杯1着、3着エアシェイディAJCC1着、09年3着エアシェイディAJCC2着、という具合である。
ちなみに今年のAJCC1着馬はネヴァブション日経新春杯1着馬はメイショウベルーガ。ほかに今年1月開催のレースで若駒S2着ルーラーシップ京成杯1着エイシンフラッシュ、迎春S(有馬記念と同じ中山2500m)1着ジャミール。

年寄りより若駒が活躍するレースでもある。過去10年の優勝馬はすべて5歳以下。中でも4歳馬の活躍が目立ち、勝率25・9%、連対率29・6%、3着内に入る率に至っては33・3%と高率。次に多いのが3歳馬で、6歳以上の優勝はない。
馬の成長は早い。今年1月にはまだヒョロヒョロだった馬が、1年たつと立派に成長する。3歳馬であっても、有馬から数日して来年1月になればもう4歳馬だ。だから有馬は世代交代をみせつけるレースでもある。

ただし、今年の場合、4歳の牡馬に強いのがいない。というか弱すぎる。逆に牝馬は4歳が強い。だから今年の有馬で上位を争うのは「4歳牝馬と3歳牡馬」という構図だ。
もう1つただし、優勝馬はいないが、2着3着には高齢馬、特に7歳馬がくることがある。この点は覚えておきたい。

上がり馬にも要注意。「前走で勝った馬を買え」と競馬の格言にある。今年も、トゥザグローリー中日新聞杯)、トーセンジョーダンアルゼンチン共和国杯)、ルーラーシップ鳴尾記念)、ローズキングダムジャパンC)が前走の勝ち馬。そういえば有馬記念の一番の大波瀾といえば91年の14番人気ダイユウサクだが、前走(阪神1600mオープン)の勝ち馬だった。

それで今年の各馬をみてみると───。
ヴィクトワールピサ 中山コース得意(今年の皐月賞馬)で2000m適性はあるが、2500mの長距離に不安。
エイシンフラッシュ 今年のダービー馬。秋3戦目というのは好感が持てるものの、一頓挫あっての3戦目で、しかも前走がパッとしない。
オウケンブルースリ 去年の菊花賞馬。長期休み明けで秋3戦目。やはり前走がイマイチ。
ジャミール 上り調子だが2着ばかり。むしろ2、3着候補。
ダノンシャンティ 今年のNHKマイルの覇者。7カ月の休み明け、しかも初戦。距離も不安。
トゥザグローリー 前走(G3の中日新聞杯)1着で上り馬だが、経験不足に距離も不安。
ドリームジャーニー 去年の優勝馬。6歳になって今年未勝利。3カ月の休み明けで、本調子になっているか?
トーセンジョーダン ただいま3連勝中。ただし前走のアルゼンチン共和国杯は相手が弱かったし、鞍上の三浦騎手は大丈夫か?
ネヴァブション 唯一の7歳馬。2、3着候補で穴人気。
ブエナビスタ ウオツカより上かもしれない最強牝馬。ただG1を3連戦するのは牝馬には酷との意見も。前走、直線でヨレヨレしてたのも気になる。
フォゲッタブル 去年は惜しくも4着。今年は臨戦過程がイマイチ。
ペルーサ 出遅れ、後方後手が心配。直線の長い東京コースに向いているが、中山はどうか?
メイショウベルーガ 長距離得意。前走ジャパンCでも善戦。ただG1レース3戦目がどうか?
ルーラーシップ 前走鳴尾記念1着。格下だが、ひょっとして逃げるかも(今年は逃げ馬不在)。騎手はルメール。そういえば追い込みのハーツクライを先行させてディープを破ったのもルメールだったが、柳の下にドジョウは・・・?
レッドデザイア ブエナと互角でたたかう実力の持ち主。ただし、鼻出血の持病?があり、それで鼻出血予防薬が使えるアメリカに遠征したというがホントか? 調子次第では上位をねらえる。
ローズキングダム 前走1着。ったって明らかにブエナに負けていた。巻き返せるか?

で、現段階でいえることは、牝馬が強い! ということ。草食系男子・肉食系女子は人間界だけでなく、競走馬界でもそうなのか。過去20年で牝馬が優勝したのは08年のダイワスカーレットのみ。しかし、ここ3年連続して牝馬が連にからんでいる。ひょっとして史上初、牝馬のワンツースリーとなるか?

日曜日をお楽しみに。