善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

黒テント+安藤ストリート

きのうは劇団黒テント公演「パビリオン」を観に調布・仙川の「せんがわ劇場」へ。

劇場があるあたりは「安藤ストリート」と呼ばれ、建築家の安藤忠雄氏による建築物が並んでいるというので、日暮れ前に早めに行く。

仙川駅前は昔は何もなかったというが、今はおしゃれな町に変身中。その仙川駅を降りて数分歩いたところにあるのが安藤ストリート。

もともと、このあたり一帯はある地主さんの土地で、昭和37年に都市計画決定されて新しい都道ができることになった。そうなると、地主さんに残るのは細長く、しかも三角形や台形の、資産価値のない土地ばかり。計画は何10年も事業化されずに放置されていが、平成2年、いよいよ計画路線が事業決定。当時、巨額の相続税を抱えていた地主さんは、何とか分断されたこのどうしようもない土地を良好な街並みに変えられないものか、と安藤氏に相談した。

安藤氏の設計で完成したのは、一階に店舗が入る集合住宅とか、市営の劇場(せんがわ劇場)や集会所、保育園の複合施設、ミュージアムなどだが、どれもコンクリート打ちっぱなしの低層建築で、統一感がある建物群となった。
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芝居がはじまる前に、劇場の隣にある「東京アートミュージアム」をのぞいてみた。
北岡哲さんという人の「トタンの生きものたち」の展覧会をやっていた。トタンでできた動物のオブジェもおもしろかったが、建物そのものも、いかにも安藤建築という感じで、3層吹き抜けの中央に階段が設けられているのがユニーク。おかげで違った角度、視点から展示物を見ることができるし、外の光も取り込むようになっているので、狭い空間に広がりを感じる。
せんがわ劇場は座席数100席ほどのコンパクトな劇場。中は特に印象はなかったが、外観はちょっと変っていて、斜めの壁はダイナミックさを感じた。
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で、芝居はというと・・・、演劇とは、結局のところ演技の「技術」が基本なのだということを、つくづくと感じた。
たとえば、亭主関白で偏見の塊であるクネーズが、「家事労働の器械」にさせられた女房のレーパに銃で殺されるシーン。人を殺すからにはそれなりの必然性(たまりにたまったもの)があるはずなのに、まるでそれを感じられない。「何で?」と観る側が首をかしげてしまうのは、演じる役者の未熟以外に何もない。ほかの役者も同様。斎藤晴彦が出た前回はおもしろかったのに、この落差はいったい何だろう?
同じように技術が追いついていない芝居でも、以前見た「新装大回転玉手箱」のときはそれなりの味があったが・・・。
いずれにしろ、感動とは、何よりまず「演じる技術」が前提にあるんだなと思った次第で、今後の精進を期待するほかはない。

芝居がはねたあとは、一緒に見に行った仲間と、駅近くの「馳走蔵たかぼ」という居酒屋でイッパイ。五島のアジ、宮崎地鶏のタタキ、ざる豆腐、焼サバの棒寿司などをつまみに、酒は菊姫。料理は1品300~500円ぐらいで、菊姫も1合650円と、なかなかリーズナブルだった。