チリの赤ワイン「サンタ・ディグナ・カベルネ・ソーヴィニヨン・レゼルヴァ(SANTA DIGNA CABERNET SAUVIGNON GRAN RESERVA)2017」
スペインのトーレス・ファミリーが南米チリで手掛けるワイン。
フェアトレード認証を取得したシリーズという。
フェアトレード認証とは、栽培農家とフェアな取引を行い、マーケットよりも高い買値を保証するとともに、労働者への公正な待遇を守るため差別の撤廃、児童労働の撤廃、法令の徹底、公正な給与など、労働環境をよくするなどの項目をクリアしたものに与えられる。
そう聞くとちょっぴり安心して飲める。
ワインの友で観たのは去年の5月にNHKBSで放送されていたものだが、録画したものの長尺(172分)なためなかなかみるチャンスがなかった香港・中国合作映画「さらば、わが愛/覇王別姫(はおうべっき)」。
1993年の作品。
監督・陳凱歌(チェン・カイコー)、出演・レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リーほか。
日本の中国侵略から新中国の成立、文化大革命と四人組の失脚に至る中国現代史を背景に、京劇の世界に生きる蝶衣(レスリー・チャン)、小楼(チャン・フォンイー)らの激動の人生を描いた作品。
「覇王別姫」とは京劇の演目の1つで、秦末期の武将、項羽と妃の虞美人との哀話を描いたもの。項羽はのちに漢を興すことになる劉邦とともに秦を倒し楚王となるも、劉邦と天下を争って敗れ、虞美人と最後の別れを惜しみつつ自殺に至ったという史実を元に作られた作品で、清代に作られたという。
映画では項羽をチャン・フォンイーが、虞美人をレスリー・チャンが演じていて、その美貌と歌声(声は本物の京劇役者だと思うが)が圧巻。
「覇王別姫」の結末同様、悲しく、切ない映画だった。
映画を見ていて、京劇と歌舞伎はすごく似ているなと思った。
レスリー・チャン演じる蝶衣は男なのに女の役をする女形だし(今は女の役は女性が演じているという)、項羽は日本の歌舞伎そっくりの隈取りをしていた。成長途中の蝶衣は、やはり若いころの歌右衛門に面差しがそっくりだったし、化粧でも、目の縁を赤くする虞美人の化粧は、やはり目の縁を赤くする歌舞伎の魁春にちょっと似ていた。
ゆったりとしたいい回しのセリフや、見得を切るところなんかもそっくりだったし、主役とその他大勢の立ち回りも歌舞伎の立ち回りに似ている。
ただし、京劇では役者が歌うが歌舞伎では役者は歌わない。この点では京劇はヨーロッパのオペラと似ている。
歴史をひもとくと、京劇は今から200年あまり前の18世紀末に北京で成立したというから、400年以上前の出雲の阿国を元祖とする歌舞伎よりは新しい。もっとも歌舞伎が今のような形になったのは江戸時代からで、人形浄瑠璃(文楽)や能などの影響を色濃く受けていて、400年前とはまるで違ったものになっている。
そういえば沖縄には組踊という伝統的な歌舞劇があるが、これも300年ぐらいの歴史をもっていて、琉球古来の芸能や故事を基礎にしつつ能や狂言、歌舞伎、それに中国戯曲などにヒントを得て創作されたものだという。
京劇と歌舞伎もどこかで影響を受け合っているかもしれない。