善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

映画「音楽サロン」+銀座の夜+荻窪「おざ」

土曜日の夕方は銀座へ、プライベートシアター「ル・ステュディオ」(銀座メゾンエルメス10階)で上映されたインド映画「音楽サロン」を観に行く。

 

少し早く着いたので、隣の銀座ソニーパークで開催中の「共生するロボティクス」を観る。人とロボティクス(ロボットのことか)が親和性を高めながら共生していく明るい未来像を表現しているんだとかで、球体のロボティクスが人と会話しているみたいだったり、キューブ型のロボティクスが人を見ると近づいてきたり、なかなかおもしろい。

自由にふるまう振り子のロボティクスというのもあった。これには意志?があって、発光するアームに手をかざすと、かざした人間を認識してジッと光をこちらに向けて、まるで語りかけてくるみたいだった。振り子のアームみたいなのが命を宿った意志ある生きものように見えて、親近感を抱いた。f:id:macchi105:20191222115333j:plain

ただの棒であっても、それが意志を持つようになると人は親しみを感じるようになるものなのだな、と思った。

 

さて、いよいよ「ル・ステュディオ」でのインド映画「音楽サロン」。

1958年の映画で、モノクロ、99分、ベンガル語

監督・脚本は「大地の歌」(55年)で知られるサタジット・レイ。

出演はチョビ・ビッシャス、ポドマ・デビ、ベーガム・アクタル、ゴンガポド・ボシュ、ローシャン・クマーリーほか。

 

あらすじは・・・。

時は1920年代、時代の変化の中で、旧地主階級(ザミンダール)のビッションボルは所有していた広大な土地もほとんど失い、没落のただ中にいた。今や彼の唯一のよりどころは家族と、芸術を愛でること。音楽のパトロンと自負する彼にとっては、新興富裕層のモヒムなど取るに足らぬ存在であった。モヒムの経済力に物言わせた祝い事に招待されても、かたくなに断るだけ。それどころか、自らも音楽会を開いて対抗するのだった。ところが音楽会の最中、不穏な嵐が起こって妻と一人息子を失い、一家に悲劇がもたらされる。
家族を失ったビッションボルは芸術に対する愛も失い、抜け殻のような4年間を過ごす。ある日、自邸に「音楽サロン」を造ったモヒムが彼を招待しようとやってくる。しかし、モヒムの慇懃無礼な態度に、彼の心に再び情熱が芽生える。
音楽サロンの扉を開けろ、シャンデリアに火をともせ、酒を用意しろ―ふたたび音楽会を開くのだ!

 

「音楽サロン」の題名のとおり、音楽がすばらしい。

当時のヒンドゥスタニー音楽(北インド古典音楽)の最高峰の演奏家が実際に出演しているというから、音楽史的にも注目される映画といえそうだ。

ヒゲのおじさん歌手が手振りを交えながら歌う歌なんか、沖縄の「口説(くどぅち)」(七五調の沖縄民謡)に似ていて耳に心地よかった。

 

中でも圧巻だったのが、クリシュナバイという女性舞踊家の踊りだった。

クリシュナバイを演じたのはローシャン・クマーリーというカタック舞踊のダンサーで、Wikipediaで調べると、インドの古典舞踊家、俳優、振付師であり、インドの古典舞踊の最も重要な人物の一人、とされている、

 

カタック舞踊は、紀元前5世紀ごろ、古代インドにて「カタカ」と呼ばれる身分の高いヒンドゥー教語り部たちが神話や英雄物語を伝導して歩いたことが起源とされているんだとか。

基本の姿勢は直立姿勢で、素足にグングルと呼ばれる真鍮の鈴を100個から200個巻いて踊る。軽快なステップ、切れのよい所作と素早い旋回、アラベスク模様、ウルドゥー文字を象ったシンメトリーな動き、全身で感情を表現するアビナヤ(マイム)、口唱歌(ヴォイス・パーカッション)が特徴というが、クルクル回転する動きに目を奪われ、細かい所作にはうっとりし、真鍮の鈴をいつまでも鳴らし続ける姿が感動的だった。

 

映画を見たあと、 エルメスビルを出て振り返るとビルが輝いて見える。なんのことかと思ったら、ちょうど「エルメスの夢見る花火」というイベントが開催中だった。

特設ステージが設けられていて、ビルのガラスブロックめがけてレザー製の花火筒をかざすと、プロジェクションマッピングでオリジナルの花火を打ち上げることができるというので大勢の行列ができていた。

手前の像は、両手にシルクのスカーフを掲げた「騎乗の花火師」。f:id:macchi105:20191222115427j:plain

帰りは荻窪駅近くの居酒屋「おざ」でイッパイ。

飲んだのは、サッポロ赤星のあと、福島・会津坂下の「飛露喜」、栃木の「仙禽 ひやひろし 赤とんぼ」、続いてなぜか同じ会津坂下の「天明 新米新酒 中取り零号」。

「赤とんぼ」のラベルがかわいかった。f:id:macchi105:20191222115450j:plain

食べたのは、まずはお通しで、キノコのポタージュ。f:id:macchi105:20191222115510j:plain

おつまみ三点セット(シラスとミョウガ、赤ホヤのワタ、イブリガッコとクリームチーズf:id:macchi105:20191222115543j:plain

刺身盛り合わせ。どれも新鮮でおいしい。 f:id:macchi105:20191222115704j:plain

赤穂の生牡蠣。なかなか濃厚。f:id:macchi105:20191222115733j:plain

シイタケと白子焼き。f:id:macchi105:20191222115756j:plain

お浸し(ホウレンソウ、エノキ、ロマネスク、カブ、柿)。ここれもおいしい。 f:id:macchi105:20191222115815j:plain

豚スジの八丁味噌煮。これはちょっと洋風っぽかったかな。f:id:macchi105:20191222115843j:plain

いずれにしろ大満足で帰還。