善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

小春穏沖津白浪 初日

3日は国立劇場で初春歌舞伎公演「通し狂言 小春穏沖津白浪―小狐礼三―(こはるなぎおきつしらなみ こぎつねれいざ)」。
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きょうが初日とあって、劇場に入ると振る舞い酒用の枡(国立劇場の焼き印入り)を配っていた。さっそくなみなみと注いでもらい、芝居が始まる前からいい気分。
ロビーでは傘回しの曲芸も。
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休憩時にはロビーで獅子舞もあり、正月らしい雰囲気。
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今年は河竹黙阿弥生誕200年だそうで、黙阿弥作の復活狂言
元治元年(1864)江戸市村座初演。日本駄右衛門・小狐礼三 (こぎつねれいざ) ・舟玉お才の三人の盗賊を主人公とした白浪物。通称「小狐礼三」。

白浪とは盗賊、中でも義賊の異称。
後漢末期に黄巾の乱を起こした盗賊・張角の残党が、のちに河西(現在の山西省)の白波谷(はくはこく)に立てこもったことから中国では盗賊のことを「白波賊」(はくはぞく)と呼んだ。
これが日本に伝わり、「白波」は訓読みされて「しらなみ」となり、さらにこれに当て字して「白浪」と表記されるようになった。

出演は、菊五郎(日本駄右衛門)、菊之助(小狐礼三)、時蔵(舟玉お才)ほか。

2002年に初演以来138年ぶりに復活上演され、今回はその再演。
2002年のときよりスジも多少書き直されたみたいでわかりやすくなっていた。
たとえば前回はいきなり「生首」が出てきて不評だったらしいが、今回は生首ではなく「ドクロ」が出てきて、そのドクロは小狐礼三が世話になった妖術の師匠のものであったというので、意味を持たせた。
これなら辛口の渡辺保サンも国立劇場文芸研究会の台本補綴に対してあまりひどくは言うまい。

冒頭も改変されたらしく、あでやかな雪だか花だかが散る中にキツネが出てきて舞い踊る。操るは菊之助。どこかで見たキツネの舞いと思ったら、文楽桐竹勘十郎の人形指導によるもの。以前みた文楽の「義経千本桜 道行初音旅」での勘十郎の妙技を思い出した。
これもなかなかいい工夫だった。

12時開演で終わったのが4時近く。休憩を除くと3時間を超える長丁場だったが、時代あり、世話あり、通称「雪月花のだんまり」あり、稲荷社での鳥居を飛び跳ねる立ち回りありで時間を忘れて楽しんだ。
正月は理屈抜きで楽しめる芝居がいいねー。

ことに今回は菊之助をたっぷり見られて満足。娘の役や若旦那の役、さらには妖狐の術を使う盗賊の役。鳥居上での大立ち回りでは最後はほとんど赤褌一丁になって大喝采を浴びていた。

うれしい気分で帰宅後は三が日最後のお節料理。毎日日替わりでおいしい料理をいただきました。
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