善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

仁左衛門と玉三郎 三月大歌舞伎

歌舞伎座の三月大歌舞伎。夜の部を観る。
演目は「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」「神田祭(かんだまつり)」「滝の白糸(たきのしらいと)」。
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もちろんお目当ては「於染久松色読販」と「神田祭」の仁左衛門玉三郎の共演。
「於染久松色読販」は小梅茛屋(たばこや)の場、瓦町油屋の場。
たばこ屋を営む土手のお六に玉三郎、お六の亭主に仁左衛門
41年ぶりの共演という。

鶴屋南北作だが、もともと大阪で起こったお染久松の心中事件を舞台を江戸に移して描いた作品という。
ひとり七役の早変わりでも知られるが、一番の眼目が小梅茛屋の場と瓦町油屋の場で、役者にとっての見せ場。
夫婦共謀して質屋の油屋にゆすりに行くが、あえなく失敗するという話で、巧みな風俗描写とともに、“悪”の魅力と笑いを誘う喜劇っぽさを、息のあった2人が見事に演じていた。

この芝居、明治以後は絶えていたが、昭和初期に前進座河原崎国太郎が復活上演していて、玉三郎は国太郎からいろいろ教わったという。

何日か前には国立劇場河竹黙阿弥作の「梅雨小袖昔八丈〜髪結新三」を見て、あちらは菊之助演じるところの小悪党の話だったが、同じ“悪”でも黙阿弥と南北とでは随分違うなと感じた。

続いての「神田祭」は清元の歌と三味線に合わせて踊りで表現する夫婦の情愛。
粋でいなせな感じがたっぷりの舞台。

「滝の白糸」は泉鏡花原作で、もともとは新派の作品。
滝の白糸に壱太郎、村越欣也に松也。
はじめあまり期待しないでみたが、おもしろかった。というより泉鏡花のこの作品はやっぱり名作だなーと思った。
水芸一座の滝の白糸のナント無垢で一途な恋・・・。
一座の相談役的な存在の春平(歌六)がコンコンと白糸を諭すシーンにジーンときた。

ただ、実際に水を使って水芸を演じる場面があったが、昔、子どものころに見たホンモノの水芸のほうがよっぽどうまかったなー。当たり前か。