善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

忘れ草1輪

このところ天候不順で、久しぶりに晴れ上がった土曜日朝の善福寺公園
散歩していると散歩仲間と出会って、2、3日前に上池でカルガモのヒナ2羽を見たという。
上池のカルガモのヒナはもう何年も見ていない。きょうも見つからなかった。

下池のスイレン畑の杭の上に羽を半開きにしたアオサギ
日光浴中だろうか。やがて飛び立って行った。
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下池のほとりにハデな色をしたユリ系の花が1輪だけ咲いていた。
オレンジ色の八重の花が反り返っていて、雄しべが長い。
ヤブカンゾウだろうか。
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カンゾウ」といっても、マメ科の「甘草」ではなく、漢字で書けば「藪萓草」。ユリ科の植物だ。

日本では「ワスレグサ(忘れ草)」ともいって、平安時代の和名抄に「和須礼久佐」とある(当時はまだひらがなが発明されていなかった)。

由来は、花があまりに美しくて我を忘れてしまうという説もあれば、花のつぼみを食べると心配事をすべて忘れるほどおいしかった、との説とか、いろいろあるようだ。

万葉集に次の歌がある。

忘れ草 我が下紐(したひも)に付けたれど 醜(しこ)の醜草(しこくさ)言(こと)にしありけり

作者は大伴家持
「忘れ草を下着の紐に付けたけれど、何ともひどい草ですね(忘れ草というのに少しもあなたのことを忘れられません)」の意味か。
ただし、原文では「忘れ草」ではなくて「萱草」となっている。萱草は中国から来た言葉で、それを「わすれぐさ」 と読んでいたようだ。