善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ジョウロとジョウゴ

きのうは地元の居酒屋「栗ちゃん」で仲間と飲む。

いいちこ」のボトルを仲間と共同でキープしているが、だれが描いたのか、かわいい絵が一面に描かれたボトルが出てきた。飲み切って、新規のを入れてもらうことにしたが、かわいい絵入りのボトルを捨てるのはもったいない。

「ママ、ジョウロ貸して!」というと「ジウロじゃないでしょ、ジョウゴでしょ」とたしなめられる。

ジョウゴでかわいい絵入りのビンに、新規の酒を移しかえたところで、飲んべえの会話とは他愛ないもので、「ジョウゴ」と「ジョウロ」との違いに話題が及ぶも、別に結論があるわけではない。

翌日、シラフになって調べてみると、「ジョウゴ」とは漢字で「漏斗」。ふつうなら「ろうと」と読むところだが、「ジョウゴ」とはこれいかに?

もともとは上戸の意味で、酒を吸い込むところから漏斗にジョウゴをあてたのだという。
上戸とは「酒を飲む人。また、酒が好きでたくさん飲める人。酒飲み」と『日本国語大辞典』にある。
すでに12世紀前半の『大鏡』に「上戸におわすれば」との記載があるし、1331年ごろの『徒然草』にも「近づかまほしき人の、上戸にてひしひしと馴れぬる、またうれし」とある。

たしかにジョウゴで酒を注ぐと、まるでうわばみのように酒を飲み込んでいく。昔の人はなかなか粋な言葉を発想したものだ。

一方の「ジョウロ」は「如雨露」と書く。草木などに水をかけるときの道具で、柄の先端に小穴をたくさん開け、そこから水を出す。一説にはポルトガル語が語源との説がある。ポルトガル語で「水の噴出」を「jorro」というんだそうだ。

元はジョウロは南蛮渡来のものだったのだろう。日本語で何と読んだらいいか戸惑っているうち、ま、いいや原語をそのまま日本の呼び名にしようということになったのだろう。

となると、むろん如雨露は当て字である。小穴から出る水はまるで雨霧の如し。なるほど、昔の人の描写力に乾杯!